ドストエフスキーの短編小説『白夜』を原作に、青年と恋人を待つ少女のラブロマンスを描いたルキノ・ヴィスコンティ監督作品。
シンプルなストーリーの中で、登場人物たちの感情の切り替わりをテンポよく描きながらも、実に深みのある物語に仕上がっておりました。
そしてなんと言っても、映像としての美しさ。
港町丸々一個を作り上げてのオールセットによる撮影というのは流石、ルキノ・ヴィスコンティ監督。笑
それ故に、どこを切り取っても画になる配置をした上での、カメラワークやストーリー運び、白と黒のコントラストを活かしつつも柔らかく、幻想的に仕上げる映像表現の巧みさには文句なしと言った感じでした!!
原作からするとマルチェロ・マストロヤンニ演じるマリオはイケメン過ぎて「女性に慣れていない」という設定では無理があるんじゃないかな?と思いましたが、マストロヤンニの名演のお陰でそこまで気になりませんでし、むしろ本作に出てくるようなキザで小洒落たセリフはマストロヤンニであればこそ、許せるのではないかなと思います。
ナタリア役に関しても、もう少し白痴っぽくて少女感のある役者さんでも良かった気がしなくもないですが、マリア・シェルの演じるナタリアは絶妙に愛嬌のあって可愛らしかったです。
本作は原作やブレッソン版ともまた違ったヴィスコンティ監督らしい魅力の詰まった作品でした!!