わかめ昆布

お吟さまのわかめ昆布のレビュー・感想・評価

お吟さま(1962年製作の映画)
3.7
「散ってから初めて貫ける想いの強さも有るのです」

田中絹代監督作品。
女性監督だからこそ、絹代だからこそ、女の撮り方魅せ方が上手で、有馬稲子の新しい魅力が堪能出来る。上品な色っぽさ。
話し方からなにから全て優美。

今までで一番というレベルで、有馬稲子が美しいと感じた。綺麗な横顔カットが多いのも◎

全体を通して色彩が美しい。

鴈治郎の千利休役は絶妙で、
仲代達矢は相変わらずの怪しい雰囲気。

旦那のやり方には、モヤモヤさせられました。
「君の名は」(岸恵子版)のヒロインの夫を見ている時のイライラ感に似ている。
嫉妬深く自信のない夫はこうも情けないものか。

ラストへの持っていき方は、松竹というより大映、若干市川崑っぽくて。
時代ものであるし、古代の日本の散りの美学の空気を感じました。
儚くて頑固で美しい。

常に何処かで田中絹代の息吹がする、彼女のように古風なおしとやかさの落ち着いた作品であった。
わかめ昆布

わかめ昆布