たにたに

男はつらいよのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

男はつらいよ(1969年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

【バター】2022年104本目

寅さん一作目。

世代的に楽しめないかと思ってましたが、めちゃくちゃ面白いじゃあないの。

イメージしていた寅さんは、話し上手で気前が良く、人情味溢れるおじさんてとこでしたが、まぁ、なんの。
確かにそういう面はあるけども、かなり空気が読めなくて、下品で、疫病神という近くにいたら嫌な奴の典型なんですよね。
どうしてまぁそこまで嫌味が言えるかね、という口の達者ぶり。
たっしょんしたり、グラスにフッ!て息かけたり。隣の印刷工場の人たちに「貧しいねぇ〜君たちは。」て言うかね普通!??笑

なんですが!!!
彼の周りには、彼を叱ってくれる人もいれば、慕ってくれる人もいる。喧嘩する者もいれば、立場が上で諭す者もいる。
人の情に弱い面もあって、綺麗な女性には滅法弱い。
こうして周りの人に影響されて、喜怒哀楽を表現する寅さんというキャラクターに親しみを持つことができる。
自信家であることには間違いないけど、子供みたいな一面もある。冬子の元へ行くことがバレたくないから、謎の言い訳を放って玄関を出て行くシーンなど。勝手に失恋して押し入れに隠れたり。憎めない。

物語的にもちゃんと伏線張って回収しているし、振りを作って笑いに展開するというコメディ要素も存分に備えている。

飲み屋で女を落とす方法を諏訪博に伝授した後の冬子とのボートのシーンや、
諏訪パパの下の名前が結局なんて読むのかわからないとか、
冬子に婿予定の男がいたと知った時の、なんとも言えない寅さんの顔。
いやぁ笑わせてもらいました。

それだけじゃなくて、きちんと人情物語としての完成度も高い。
諏訪博の"誰かを愛したことありますか!!"とか、諏訪パパの涙流しながらのお言葉も、かなりジーンと来ましたね。人間の覚悟というか勇気を出して発する言葉みたいなものには、不思議な力が宿っています。

喧嘩のシーンとかは、ごまかしでやってますが、ありのままに写してるのが潔い。
そしてまぁみなさん演技が上手いこと。
志村喬さんの泣きのシーン素晴らしいし、
渥美清さんは所作が全て男臭くてもはや美しい。酔ってるへべれけの演技もすごい。

最後ハットのリボンに電車の切符挟んでるの見てゾッとしましたね。。その使い方は思いつかなかった。想像できますもんね、あぁ寅さんならそうするか、と。

奈良のピンクの鹿の風船の使い方も最高です。


〜昭和の匂い〜
渡し舟 大人30円 小人20円
纏祭り
テーブルの上に真空管テレビ
竹の釣竿とブリキの魚籠
ポリプロ帽子
インコ飼ってる
蛇腹式カメラ パーレット
スイカの名産地
ギンガムチェックビニールクロス
たにたに

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