マサキシンペイ

時計じかけのオレンジのマサキシンペイのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.4
アバンギャルドな名作と呼び声高かったので意気込んで見た。確かに尖った暴力とセックス描写、意味のわからない近未来の若者のスラングの多用と、感覚的で刺激的な映像の連続であったが、意外なほど「悪行は、どれほど気持ちを改めたとして、報復が待っている」というコテコテの寓話の構成に落とし込んでいる。

しかし、その寓話の構成の効果が逆流している。
テンポよく若さを爆発させる暴力三昧・セックス三昧に比較して、抗えない報復を受ける後半の方が胸糞悪さを感じる。従って道理と善を説く寓話が逆説的に「悪行を行う自由を奪われた人間は人間か」というテーマを現している。

退屈する事はない映画だが、スタイリッシュな映像世界の割には、冗長というか、もっと短い時間にまとまっていた方が良いと感じた。
マサキシンペイ

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