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『はつ恋』に投稿された感想・評価

ニュアンスの鬼こと小谷承靖監督。鎌倉の屋敷の隣には夢のような洋館(「狂った果実」と同じとこ?)妥協が1ミリも入り込まない、スタイリスト・美術の腕が光りまくるインテリアに衣装。親父は判事の二谷英明(当時45歳…!)浜辺のタンゴ、仁科さんの取り巻きメンズも次の夏にはもういない。カタツムリに巣をつくる蜘蛛、雄を喰う牝かまきりに鴉の群集。乗馬中息子を待たせてなにやってんだ二谷英明。鞭を振るう二谷英明の人格が不透明でやたら怖い。ホワイトラブならぬ、白く濁った冬の終わりに残雪の積もる東屋、浜辺での無数の貝の亡骸に朽ちた俺のボート、沖には無数の白いボート。全員が赤い血を流す。どんだけ小谷…。撮影は中井朝一。

仁科さんのファッションも素敵なんだけど、母役の根岸明美のファッションも最高に可愛い。子宮のスクリーンの場面も過剰でいいなー。
csm

csmの感想・評価

5.0
ラピュタあたりで上映あったら仁科礼讃の文字が並びそうだが、ポストひろみだかジャニの優作だかのジャニーズJr.スペシャル井上純一と、小谷監督による彼の使い方がとにかく素晴らしい。髭を蓄え受験生となった井上さんがカメラで追うのは自らの初恋。その始まりからラストは無数の貝殻と迫り来るいくつものヨット。小谷ファンにはこれだけでも堪らないのに、ホルターネックの白ワンピで自転車後部に横座りしたり、亡き父(画家)のアート界隈の友人たちとゴーグルつけてタンゴ踊ったり紐巻いてタロットしたりとヤバすぎる仁科さんの衣装は監督自ら下北に選びに行ったらしい。井上さんが父・二谷英明と成城から馬乗って向かうのは野川沿い?の夢の家。馬?ここで?家かわいすぎじゃね?みたいな凡庸な疑問を吹き飛ばすラストのグッサリ二谷に悲鳴。そしてカマキリ!プチプチをひとつずつ潰す母・南風洋子も忘れがたい。
健康優良が売りの東宝映画も、70年代中盤となると陰鬱とした青春映画を撮るようになる。
原作が外国文学のせいか、かなり突飛な設定である。
岸田森を筆頭とした仁科亜季子の取り巻き軍団が不気味だ。
(軍団に入るには仁科亜季子と葉っぱ越しのキスをする儀式がある)

すべての面で自分を上回る父親・二谷英明に彼女を寝取られてべそをかく井上純一がハマっている。

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