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スペードの女王のhorahukiのレビュー・感想・評価

スペードの女王(1949年製作の映画)
4.4
名作サスペンスホラーとして名高い作品!
最初はちょっと眠かったんですけど、中盤あたりからグイグイと引き込まれ、気づいたら夢中で見てました♫

先月レンタル開始したんですけど、TSUTAYAの近隣店舗全部取り扱いなし…。本当にお取り寄せって良いですね!時間はかかりましたが、見れて良かったです👍

あらすじ…
1800年代初頭。主人公は工兵隊長。今まで堅実に出世してきたが、これ以上の出世には強力なコネか莫大な金がいる。そこで偶然見つけたとある本。そこにはギャンブルで勝てる必勝手の存在とそれにより大金を手にし、唯一その手を知っている公爵夫人のことが記されていた。公爵夫人が存命なことを知った主人公は、何とか取り入ろうと計画をし始めるが…という話。

人は本質的には善良なのか。欲に目がくらみ悪に心を売ったとしても、その奥底に善は残っていないのか。そういったことをテーマにしたサイコホラー。

主人公は出世のために悪に心を売ってしまう。自分のためなら、他人なんてどうでも良い。序盤は堅実そうに見えるシーンもあり、迷いがありそうな主人公でしたが、出世欲に負け、真実かどうかもわからない事柄を盲信し他人を貶めようと行動し始める。主人公の行動を象徴するようにナポレオンの名前が度々出てくるのが印象的。そして、目的の達成が目前に迫った時の狂気の表情はまさに悪魔のよう。冒頭の堅実な主人公とはまるで別人で、その変貌ぶりがこの映画の1番怖いところだと思います。

音をうまく使ってるのも良い。公爵夫人が歩く時に必ず聞こえる衣摺れの音。それを恐怖シーンに取り入れることで、何も映さなくても公爵夫人の存在を感じさせ、それが恐怖へと繋がっていく。カーテン越しの人影、ドアの開閉、吹き込む風等、恐怖演出は本当に素晴らしい。

タイトルの『スペードの女王』とは、そのまんまトランプのカードのこと。劇中でトランプを使った賭け事をやるんですけど、その中で不運な引き札としてジンクス的に言われてるのがスペードのクイーンなんです。ただ最後まで見ると、このスペードのクイーンが非常に大きな意味を持ってくる。どれだけ悪で塗り固めても、心の奥の奥に、人間の本質として、微かだけど確かに存在する「善」を表現する素晴らしいアイテムになっている。傑作でした♫
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