さっこ

乙女の祈りのさっこのレビュー・感想・評価

乙女の祈り(1994年製作の映画)
3.5
※今回の感想は映画とWikipediaと殺人博物館というHPを参考にして書きました。
映画の感想というより、実際の事件の概要ですね😫



①【事件】
1954年、ニュージーランドにて。
15歳の仲良し少女、ポーリーンとジュリエットは、ポーリーンの母つきそいでピクニックに出かけた。
もうすぐ離れ離れとなる親友の最後の思い出作りイベントとでもいうべきものだった。
そこで、ポーリーンとジュリエットは二人でポーリーンの母親を殺す。
レンガで頭部を45回も殴った二人は返り血で全身血まみれになっていた。
それでも二人は近隣の住民に母が事故死したと話したらしい。
すぐ嘘だとバレて程なくしてやって来た警察に逮捕されてしまった。


②【動機】
大学の学長の娘ジュリエットが労働者の娘ポーリーンのクラスに転校生としてやって来て彼女たちは出会った。
どちらも空想癖があり、すぐに仲良くなった。
二人は「ポロヴィニア共和国」というファンタジー世界を作りだし、空想の中そこで暮らした(俳優、監督で有名なオーソンウェルズもその世界の住民であるw)。
そこでポーリーンは「傭兵ランスロット」、ジュリエットは「王女デボラ」の役割を演じた。
物語上、二人は恋人同士で、子供を出産したりもする。

こうした二人の様子を見てただならぬもの…つまりは同性愛の疑い…を感じた二人の両親は、二人を引き剥がすことにした。
どうあっても離れないという強固な意思があるため、ついにジュリエットは南アフリカに移住させられることになってしまう。

それがポーリーンの母を殺すにいたった動機だった。
離れ離れになる前に二人はついに同性でセックスをするのだった。

犯行後に押収されたポーリーンの日記には母を殺す計画が書かれていた。
そこには「母を殺す日をワクワクして心待ちにしている」「計画して興奮する」「罪悪感を感じない」などと書かれていていた。

映画の描写では、「ポロヴィニア共和国の物語を書く自分たちはつまらないその他の人間とは違って才能がある。ハリウッドに行ってこの物語を映画化してもらうんだ」と考えていたらしい。
待ちに待った犯行のその日、母を一発、後ろから石で殴れば死ぬものと二人は思っていた。
しかし実際は40回以上の殴打を必要とし、母が事故にあって死んだと主張しても誰も信じるものはなかった。

自分たちを天才だと思う謎の万能感は思春期にはありがちだが、当然それは錯覚だったようだ。

事件後、裁判所の通達により彼女たちは一度も会っていない。



③【発覚】
※ここからは映画に描かれないこと。

しかし…だ。
この映画が発表されるにあたり、イギリスの歴史ミステリー作家アン・ペリーがポーリーンの母を殺したジュリエットであることが明るみになった。
なんと実際の殺人犯が売れっ子小説家となっていたのである。
これは驚きだ。

彼女には真に才能があった。
罪悪感も感じずに人を殺してしまうとてつもない空想癖はたしかに小説を書く才能と共通したのだろう。

しかし、ことはそう簡単に直結しないとも思うのだ。
少女時代の殺人と人気作家の間には途方もない距離がある。
そこに何があったのか?
当然、苦悩があったはずだ、と自分は想像する。
罪を背負っていても自分は小説を書くしかないのだ、と努力したのかもしれない。
それでもやはり「許されることなのか」と思ってしまう。

彼女は「隠すことが何もなくなってしまって、これからはありのままで生きていけます」と語ったらしい。
どういった意味合いなのかはこの一文だけではわからない。


もう一人、実の母を殺してしまったポーリーンの方は書店などで働き、その後現在はスコットランドの離島でひっそりと余生を送っているようだ。
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