むぅ

ロリータのむぅのレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.4
「え、怖い。大丈夫なのかな」

大黒摩季
「あなただけ見つめてる」
初めて聞いた時の率直な感想である。恋のいろはも知らない小学生の私に心配される筋合いはないと言われそうではあるが、幼いながらにそう思った。

今作を観ていて、そんな事を思い出し改めて聞いてみた。

誰かに夢中になった時、その人の全てを自分のものにしたいと思ってしまう感覚は、まだ分からなくはない。ただ、その人のものになりたい、という感覚が私には分からないのだ。
「ヤバいハイテンション」「行け!夢見る夢なし女!」の歌詞で、まぁ本人も色々分かった上での事なのだろうと思った。

恋するという素敵な感情から、危険な香りがする時、そこには"所有"があることが多いように思う。
相手と一緒に見た景色、聞いた音楽、嬉しかった言葉、そんな思い出は大切に自分の"モノ"にしたら良い。でも、相手を自分の"モノ"にしようとすると話は違ってくると思うのだ。

恋愛感情もその関係も、人それぞれだけど、その相手が年齢的に幼いと、"所有"どころか"搾取"に見える。

「30歳超えたらもう同い年」

そう言い放った友人の言葉を思い出す。そんな事もないとは思うが、いわゆる"年の差カップル"と言われる関係において、年下側が20代後半を過ぎていると、ふーんくらいの感想になるので、一理あるのかもしれないと思う。

主人公の想いが"恋" "束縛"ではなく、どうしても"所有"に見える。
色んな感情が巻き起こるので観て良かったが、観終わって脳内に浮かんだ最初の言葉は
「キモっ」
という何とも語彙力控えめな感想であった。

高校生の頃、友人が教育実習生に恋をして、告白をした。
(私の中では"勇気あるシリーズ"として、かなり印象に残っている)
その先生の返答が
「ありがとう。誰かを好きになることはとても素敵なこと。君自身の中に生まれたその感情は大切にして欲しい。でも絶対に僕はそれには応えられないよ」
というものだった。
「へえ!もっとちゃんと授業受けたら良かった」という感想と共に結構心に残った。
けれども1年後、読んでいた小説で全く同じ言葉を発見し、ちょっとだけ「あいつ!!」と思った事も思い出した。
むぅ

むぅ