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ヒッチハイクのhorahukiのレビュー・感想・評価

ヒッチハイク(1976年製作の映画)
3.7
ここにいるのは神と悪魔だけだ!

夫婦が乗せたヒッチハイカーは殺人鬼だった!後部座席に陣取る強盗殺人鬼クソ男と、助手席の逆玉ウハウハ半ニートDVクソ夫が車内の覇権を争うというクソ男同士の意地の張り合い。そんな状況でずっと運転させられてる奥様がとにかく可哀想なジャーロ。

とにかく男どもがクソなので、ブチ切れた奥様がジャケ通りの全裸ライフルをぶちかますという最高なシーンが見れたのが良かった!でもU-NEXTさんしっかりモザイクつけてるのが邪魔だった🤣

『激突!』そして後年の『ヒッチャー』との類似性が良く指摘されていて、確かに年代的にも内容的にも両作の中間に位置するように思うのだけど、それ以上にバーヴァ『ラビッドドッグス』の影響が顕著な作品だと感じた。『ラビッドドッグス』をベースに『激突!』をまぶして、はい完成!みたいな。本作の製作陣が『ラビッドドッグス』に触れる機会があったのかは謎だし、そもそもの源流はアイダルピノのやつ(未見)だと思うけど😂

そしてそういった外径部分だけでなく、本作は主題的にも『ラビッドドッグス』と『激突!』を混合させた贅沢セット。本作のクソ夫は金持ち奥様と結婚したために、仕事における情熱を誰からも認めてもらえず野心を失っている。つまりは『激突!』の主人公と同じく、男性性喪失の状態。危機的状況に瀕した自身の男性性を慰めるために、レイプの如く奥様を襲うことで仮初の優位を保持し、心の平静を保っている。

そこに殺人という暴力的で旧来的な男性性の権化たる殺人鬼が乱入してくることで、強権的男性性とひ弱な男性性のバトル=『激突!』と近しい状況が生まれる。更には、それぞれを獣性・知性(悪性・善性)に置き換えた内面的バトル=『ラビッドドッグス』に移行する。あちらが最後の牙城として子供を配置したように、本作では奥様がその役割を担う。ただ、バーヴァが車という箱、流動的な内部をそれぞれ人間の外内に見立てたのとは違い、プロローグの時点で主人公の病的な精神状態にフォーカスするのはジャーロらしさだろうと思う。

とりあえずヒッチハイカーは乗せちゃダメ!
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