輪廻やら転生やらで とにかくややこしい状況に見舞われた家族が気の毒過ぎて 裁判沙汰からの終盤は 結果としてのモヤモヤが残ってしまうんだけど そこは名匠ロバート・ワイズ 誠実でいて丁寧な描き方をもってして 自然な流れで感情移入できてしまう

心霊サスペンスお手のもの フェリッタの原案も去ることながら
なんてったって RKO上がりのワイズの本領がトコトン発揮されていて 『サウンド・オブ・ミュージック』と『ウェストサイド物語』の神々しさに埋もれがちな ホラーでの才気を改めて見直させられる
ってか この人って結局 どんなジャンルでもちゃんと名作撮ってんだよねぇ…
自分の作風や特徴を分析した論評も てんで無意味で無価値と一蹴してたもんなぁ

でもさぁ こんなコトが頻繁だったら、この世界はとっくにパニックなんじゃ…

「ぜひ知って欲しい不思議な話です。11年前私は幸せでした。素晴らしい妻と娘がいた。娘の名前はオードリー・ローズ。
5才で死んだ」

　ビルとジャニスは11才の一人娘のアイヴィーと幸せに暮らしているのですが、夫婦は見知らぬ男につけ狙われている気配を感じます。
　二人はあることをきっかけにその男から話を聞くことになります。
　男の名前はエリオット、11年前の1965年10月3日午前8時20分頃娘オードリーと妻を交通事故で亡くした(車内に閉じ込められ焼死)と打ち明け、アイヴィーはオードリーの生まれ変わりと話し始めます。話の最中子供部屋で寝ていたアイヴィーは突然叫び、もがきビルとジャニスの手に負えない状態になり、エリオットの「オードリー、パパだよ」という呼び掛けに落ち着きを取り戻し眠りにつきます。
　感情的になったビルはエリオットを殴り付け家から追い出すのですが、ジャニスはアイヴィーの手にできたやけどの痕や、アイヴィーの誕生がオードリーの死んだ僅か2分後であること、エリオットの言葉にだけアイヴィーが反応したことが心に引っ掛かります。

　アイヴィーは6才の誕生日から誕生日の日に同じようなことがおきているのです。12才の誕生日はもうすぐ。

　翌日ビルが留守の夜アイヴィーはまた錯乱し、手に負えなくなったジャニスはしかたなくエリオットを家に入れます。

　そして次に起きた錯乱の時、家を訪ねたエリオットはビルがアイヴィーに合わせてくれないためにやむなくアイビーを連れ出してしまいます。そしてエリオットは誘拐犯として逮捕され裁判が始まります。

　1974年の「エクソシスト」から3年後に製作された「オードリー・ローズ」の監督は「地球の静止する日」「砂漠の鼡」「傷だらけの栄光」「ウエスト・サイド物語」「たたり」「ヒンデンブルグ」「スタートレック」・・・のロバート・ワイズ。今日まで「エクソシスト」並みの怖いオカルト映画と思っていたのですが、間違っていました。

　『輪廻転生』を説くインドの僧侶の証言、交通事故を引き起こしてしまいオードリー・ローズが車内で焼け死ぬのを目の当たりで見た女性の証言・・・、奇異な裁判の証言は陪審員を納得させるものにはならず、ジャニスの証言の前日、アイビーは学校行事の焚き火の中へ入ろうとする事件が・・・。　
　証言台に立つジャニス・・・、崩れていく夫婦の信頼・・・。
　そして検事・判事・ビルの間で決められた退行催眠はエリオットの弁護人とジャニスが反対する中、陪審員の前で強行されます。

「さあ8才の誕生日に戻るよ」
「次は4才の誕生日に戻るよ」
「今度はママに抱かれていた赤ちゃんの頃に」
「次はもっと前、アイビーが生まれる前に、前世の最期の瞬間を思い出して・・・
君は誰だい・・・？」
　そして思わぬエンディング。いや、予想通りのエンディングへ。

　若きアンソニー・ホプキンスがエリオットを演じています。
　怖い怖い話と思い込んでいた映画は思ってもいない裁判の映画となり、肉体は滅んでも魂は・・・という宗教がかった映画となり、今一つ釈然としないエンディングを迎えるのですが、ロバート・ワイズ監督のストーリー展開にぐいぐい引き込まれてしまいました。欲を言えばもう少し盛り上がりが欲しかったかも。

　
　

たき火

我が子が実は11年前に死んだ少女の生まれかわりではないかという心霊サスペンス

事故

自由
輪廻、病気なのか⁉︎

テーマは良い
でも、内容はそこまでですかね

法廷モノ
それぞれの想い

雰囲気はある

スーザン・スウィフトの叫びが印象的でした