母のような気持でアハマッドくんを案じ、走ってもいないのに疲れ、あの絶妙なカメラワークに完全にやられました！
と思いきや、童心も蘇るのです。自分の知らない世界に飛び出すことが、恐怖でいっぱいだったあの頃を…。
はたまた、なかなか目的地にたどり着けないもどかしさは、夢のような感覚にもなり。いずれにせよ、ささやかな出来事にこんなに胸を打たれるとは…。
不安げな表情で、上目づかいをするアハマッド君がたまらなく可愛かったなぁ。ネマツァデ君のズボンの泥をとってあげるシーンや、「宿題やってあるからね」の台詞が本当に優しくて。心がほんわりとしました。何を隠そう、ネマツァデ役の子供がアハマッド君の弟だそうで。なるほどな、と実感。キャスティングも素晴らしい。
規制が厳しいイラン国内でも、上映が許可されていたとのことですが、理不尽な思考にやんわりと一石を投じようとしているではありませんか。
さすがパナヒ監督のお師匠さま。
