真っ黒こげ太郎

スリザーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

スリザー(2006年製作の映画)
4.5
彼ら(スリザー)の侵略は、口から始まった!!!

侵略されたくなきゃ、叫ぶ前に、口を塞げ!!!




鹿狩り解禁前夜祭に沸くアメリカの小さな町。

山奥に隕石が落下し、中から出てきた謎の生命体が町の有力者のグラントに侵入し寄生した!!!
案の定、グラントはメチャンコにおかしくなり、やたらお肉を買いまくったり、体中に気色悪いイボが出来たり、腹からウネウネした触手が出たりと見るからにおかしくなっていた。

グラントの妻であるスターラが夫の異常に気付くも、気が付いた時には既にグラントはとんでもない異形のモンスターに変形していた!!!
案の定スターラに襲い掛かるが、警察署長ビルの乱入によって事無きを得る。

その後、グラントを探す為に山奥に捜索に出た一向。
再び現れたグラントを追い森の中で入り込むが、そこには人間を宿主に増殖した地球外生命体の繭があった!!!

繭は大爆発し、町中にヒルみてーな地球外生命体が散らばった!!!
生命体は口の中に入り込み、入り込んだ人間をゾンビ化させる!!!
あっという間に町中はゾンビまみれに!!!




宇宙から現れた寄生生命体によって町中が大パニックになる、ホラー・パニック・コメディ映画。
監督はトロマからデビューし出世し、今では多くのアメコミ大作を手掛けるジェームズ・ガンさん。

とあるモンパニ映画を見たら、今作を思い出したので再鑑賞。
因みにプレミアムエディションなるDVDを持ってたりします。w


お話はベタなエイリアン系の寄生モンスター物に、ゾンビ物を合わせたみたいな感じ。
宇宙から現れた寄生生物に町の人が乗り移られ、感染が広がって大パニックになっちゃうという、実にコテコテなモンパニ物でございます。
展開自体は超、ありきたり!な感じではありますが、そこは流石の名監督ガンさんだけあって、実に80年代モンスター物のツボを押さえた素晴らしい快作となってました。w



展開はベタンコではありますが、寄生からの変異、それから感染爆発とテンポ良くて飽きさせぬ。
内容も基本はシリアスではありますが何処となくコメディタッチで、笑える箇所や怪物の滑稽な造形等、コミカルな個所も多いので肩の力を抜いて見れます。
意外な奴がしぶとく生き残ってたり、生き残れそうな奴が後半でアッサリ退場したりとパニック展開の見せ方も純粋に上手い。
(逆にこの手の映画で生き残りそうな連中が真っ先に狩られまくるのも良い、動物が死ぬのが嫌いな人には耐えられそうにないが。)


モンスター見せ方も良く、徐々にモンスターに変異していく男に、後半のヒル系モンスター大発生に寄生ゾンビとしっかりバリエーションがある。
モンスターは特殊メイクやVFX、CGの合わせ技であるが、要所要所でキチンと生々しい特殊メイクや特殊効果を使っているのが好感触。
モンスターの見た目や特殊メイクをフル活用した姿も80年代のB級ホラーっぽくて良い。

ゴア描写もあちこちに盛り込まれ、胴体開きや脳天爆破、内臓デロデロに寄生により変異していく姿など、どれも見せ方が良く素晴らしい。
血みどろっぷりも中々でスプラッター好きとしても満足だ。w
腹から出てくる触手やヒルみたいなウネウネ等の気味悪い描写やぐちゃぐちゃの膿や腐乱し散乱した肉塊等の汚い描写も盛り沢山!!!


とまぁ長々と書いたが、上手いモンスターの見せ方に良く出来たグロゲロ、飽きさせない展開と素晴らしい80年代B級ホラーの息吹を感じさせる素敵な逸品でござった。
欠点らしき欠点はほぼ見当たらんが、しいて言うなら展開自体が物凄いコッテコテで見新しい場面が少ない事と、後ヒル型モンスターがもっとうじゃうじゃと人に集ったりする場面が無かったことか。
まぁ、コテコテな内容は寧ろ80年感満点だし、CGのヒルが集ると一気に安っぽくなりかねないので、これで良いのだろう、きっと。


まー何はともあれ、”こういうジャンル映画”好きなら十分に満足できる、良く出来たキモグロ映画の快作です。
生理的にアレなシーンもありますが、そういう悪趣味キモグロ系作品や特殊メイクフル活用しまくり系な80年代モンスター物とかが好きなら有無を言わずオススメでございます。w

ジェームズ・ガン監督は後に超大人気メジャー監督に上り詰めるのですが、それも頷けますな。
最近では解雇騒動の後に復帰したりと波乱万丈な監督人生を送ってますがですが、今後も頑張って欲しいですね。
(そういえばこの騒動によって別のアメコミシリーズを手掛けることになったみたいだけど、あのシリーズも予習とかした方が良いのかな…。)