あまのかぐや

スパイダーマン2のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

2は、何回も観すぎたせいか名シーンばかり記憶に刻まれ、ストーリーは正直あまり覚えていなかった。

高校を卒業してNYに行ったピーター、カメラマンになりたいという前回の夢はさておき大学生になっています。
MJは舞台女優をめざして、オーディションをうけながらカフェの店員。
父の死で傷心のハリーは、スパイダーマンへの復讐を誓いながら表向きは父の会社を継ぎ、科学者の支援をしている。

そんな設定。

今回のヴィラン「ドク・オク」は核融合実験中の失敗で、人工アームと一体化してしまいモンスターに。触手のように動き、街を破壊しまくるアームがダイナミックで、前回のヴィラン、グリーン・ゴブリンよりビジュアルがだんぜん良かった。中身がモッサリしたおじさんだけど、それもまたよし。

自分の手によって最愛の奥さんを失くしてしまい、時々科学者の素に戻り自分のしでかしたことに慄く姿も、決着のつけ方も、一言では語れない深いヴィランです。まだモンスターになる前、ノーベル賞を目指すぐらいの優秀な科学者だった博士、弟子入りしたいというピーターに「才能は誇るものではない。天から与えられたギフトだから大切に人のために使わなければ」と諭すような全うな学者だったのですよ。

今回のピーターは学業とヒーロー活動、メイおばさんに負担をかけないように、それから駆け出し女優のMJを支えるためにバイトもしなきゃ!…多忙すぎて不能(笑)になってしまう。糸、でない…。

すべてをやろうとすれば、そりゃ回らなくなるよね、ということで一時、スパイダースーツを捨てて廃業しちゃうのです。だから「スパイディ大活躍」のシーンより、ピーターの内面の話が多め。やっぱり重いなぁ…でもそのぶん、キャラクターに愛着がわく。ただのヒーローものでは片づけられない青年の成長物語。メイおばさんに、1でのおじさんの死に自分がかかわっていたことを告白する大事なシーンもここだったのですね。ううう泣けた。メイおばさんとベンおじさんの間の深い愛情と、実の息子同様大切に思われているピーター、個人もそうだけど、家族の姿が丁寧に描かれています。

あと、ほんとに、1からさらにめんどくささが増して、どうしようかと思う、ハリーとMJとの関係。

MJは1のときより見かけ洗練されたような気がしましたが、尻軽ぶり&KYぶりに、さらに磨きがかかりました。ホントにイライラする(笑)イケメンの空軍大尉との婚約とか、意味がわからない。結婚決まっていながらピーターとカフェで語るシーンのごり押しぶりに呆れた。自分からは決して「好き」とか「愛してる」とか言わないくせにピーターからの愛を強要して、「あたしのこと好きって言ったじゃない」「キスして」とは(ふるふるふる)結婚するって大々的に報じられ傷ついたピーターの気持ちとかMJの中にはまったくない!後ろからスリッパで叩きたかった。もだもだしてるピーターへのあてつけ?あてつけで結婚式まであげて入場口で逃げられた大尉。これまでの輝かしい来歴が水の泡じゃねーか。編集長もっと怒っていいのよ(編集長の息子らしい)ピーターもハリーも大尉も全く悪いところない。プレイボーイというわけでもないし、ただただMJに振りまわされただけで、ほんとかわいそう。

まだ父の仇(勝手に勘違い)スパイダーマンの正体をしらないハリーが、ピーターにスパイダーマンを連れてこい!ってしつこく迫る。ピーターはスパイダーマンの写真を撮ってくるから知り合いだと思われてる。亡き父に最後まで愛されなかった思いを拗らせすぎて、ハリーもおかしくなってる。まずは、君、人の話を聞きなさいって。ラストではついに正体を知ってしまいます。父と同じ肉体改造マシーンに入り、ゴブリンジュニアになったハリー。次回はいよいよ・・・。

2といえば忘れてはならない名シーン、暴走する高架の電車を止めるシーン。海に転落するギリギリで止めて失神したスパイディを乗客たちがそっと運んだシーンは名シーンでしたね。素顔を見た乗客たちも、マスクを拾ったよって差し出す子供も「誰にもいわないよ」ってピーターに言うの。えーん泣けるやん。

でも今回振り返ったら、1でも宙吊りになったケーブルカーを支えて動けないスパイディを攻撃するゴブリンに向かって、橋の上から街の人たちが石やら投げて助けてましたね。あとスーツなしで火事のマンションに飛び込んでアジア系の女の子を助けるシーンも今回ありました。3歳ぐらいの女の子が落ちそうなピーターの手を引き上げようとしたり・・・細かいところで、ピーターの「みんなの隣人」感が垣間見えて好きなシーンです。MCUのスパイダーマンみたいに仲間はたくさんいるわけじゃないし、基本孤独なヒーローなサム・ライミ版ピーター・パーカー。単純な全身タイツヒーローの活躍譚ではなく、悩んだり苦しんだり、再起したり、へなちょこさやもどかしさが等身大で、すごく応援したくなる。

追記:
ドク・オクの名前が決まる前に、新聞に載せるために候補に挙がった名前
社員「ドクターオクトパス?」
編集長「却下」
社員「科学者イカ(サイエンススクイッド)?」
長「ダサい!」
社員「ドクターストレンジ」
長「パクリか」

改めて見ると、おお、こんなところに・・・って気付きが楽しい。
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