「警告……警告……。ハルマゲドン接近」

機械音のような声でテレビのCMから繰り返し流れていまだに耳にこびりついています。

宇宙の破壊王“幻魔”を阻止できるのは地球の各地に点在する超能力者たちだけ。サイボーグ戦士“ベガ”と共に覚醒した超能力を武器に幻魔との激戦を描いた作品。

後の『AKIRA』（'88）につながるようなキャラクターデザインや都会の細やかな描写が再確認できたのは良かったです。

『宇宙戦艦ヤマト』（'77）、『機動戦士ガンダム』（'81）などのエポックメイキングな作品とならぶような作品という記憶を持ち続けて40年ほど経った今、久しぶりに再鑑賞しました。思っていた以上にカルトな作品だったんですね。そういえば小説まで読んでいたりしましたが話が壮大すぎて断念していたことも思い出しました。記憶なんていい加減なもんですね。

サイボーグ戦士ベガのデザインと戦闘アクションはかなり斬新だった気がしますし、今見ても驚くほどかっこいい。

ただ総じて、肩に力が入りすぎた感はあったかな。特に後半、物語が一足飛びに進んでいく感じがあって、大作を作ろうとするあまり、まとまりを欠いてしまった印象を受けました。

【ハルキマゲドン】

角川映画劇場用アニメ第１回製作作品であり、
原作：平井和正、石ノ森章太郎
製作会社：角川春樹事務所、マッドハウス
アニメキャラクターデザイン：大友克洋
音楽監督：キース・エマーソン
監督：りんたろう
キャスト：古谷徹、小山茉美、江守徹、池田昌子、美輪明宏、穂積隆信、原田知世、白石加代子など
というそうそうたる顔ぶれ。

全てのものの完全なる破壊を望む存在、宇宙の破壊者“幻魔”が地球にやって来る。
宇宙の意識体“フロイ”のメッセージを受け取ったトランシルバニアの王女にしてエスパーの“ルナ”は、世界各地のサイオニクサー(超能力者)を集め、地球を守る戦いを始める。
ハルマゲドンに立ち向かうサイオニクス戦士たち。
昭和の八犬伝であり、アベンジャーズを先取りしている(というのは言い過ぎか．．．)

吉祥寺→ニューヨーク→吉祥寺→富士山へと戦いの場を移す。
廃墟と化した東京・ニューヨーク、富士山噴火などデストピア描写が凄まじい。
巨人の星を思わせる姉弟の愛も見どころです。

「必ず最後に愛は勝つ」
「愛は世界を救う」
あの時代の真っすぐなメッセージには、たんまげどん。

「どまんなかアニメ映画祭」にて。ゲスト：丸山正雄、インタビュアー：原口正宏。
実制作をしたマッドハウスの社長だった丸山さんが、あの大友克洋に「お姫様がブス。もっと目を大きくして、かわいく」とダメ出しをしたと言っていた。
大友克洋は「そんな顔は描けない」と断ったが、この作品で超能力に興味を示し、後の『AKIRA』に繋がってゆく。
初見だったが、40年前に角川の大量宣伝で流されていたテーマ曲は覚えていた。刷り込まれていたんだなぁ。