平野レミゼラブル

ターミネーター2の平野レミゼラブルのネタバレレビュー・内容・結末

ターミネーター2(1991年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

シュワちゃんが玄田哲章、ジョン・コナーが浪川大輔な吹替版(フジテレビ版)の劇場公開ってこの「ぶっとおし応援上映」がはじめてみたいッスよ。なんかしょっちゅうMADとかで浪川ボイスのジョン・コナー聴いてるので意外だ……ともあれこんな貴重なはじめての『T2』鑑賞だなんて超幸せッスね……
 
そして観た結果なんですけど、めっっっっっちゃ面白いッスね……
いやあ正直言うと、前作であれだけ恐ろしい敵として猛威を振るっていたT-800がシュワちゃんが親しみやすいスターになったからって善玉のボブおじさんとして出てくることに「ケッ…なんでェ…!」って気持ちがありましたよ?気持ちとしては劇中のサラ・コナーと同じで、お前は所詮命令に従う機械だしな!って感じでしたよ?でも、散々ジョン少年と絆を育む件を入れて、人工知能特有の小粋なニンゲンムズカシイギャグを挟んでほっこりさせ、終いにゃコナー親子を守るために生身のボディが見える程にボロボロになる過程を観ちゃったら、そんなの「親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙無しには見られなかった」としか言えないじゃないですか……!
 
今回の敵ターミネーターであるT-1000も今観ても全く色褪せないレベルに魅力的でしたねー!シュワちゃんと比べて華奢ではあるのですが、液体金属という魅力極まる武器と個性を持ち、声帯模写に留まらない擬態といった搦め手まで駆使して迫ってくる姿はT-800とは別種の恐ろしさがあります。
あの顔や手を色んな形状の武器に変化させて襲ってくるの、『寄生獣』のネタ元ここか!と思ったんですが、どうやら逆でキャメロンが『寄生獣』を参考にしたらしいのにはビックリ。寄生獣では人間の顔が得体のしれないモノに変わるグロテスクさがありますが、液体金属となると途端にスタイリッシュに見えてしまうのは不思議ですね。
 
しかしこれ、今回は最初からT-800が善玉という情報を知って観たワケだけど、知らないで観ていたら冒頭でT-800とT-1000が両方現れたシーンがもっと緊迫感あるものとして見られたのかな。ゲェッ!シュワちゃん!?ゲェッ!さらに新型!?ゲェェェッ!!挟み撃ち!?って感じに。そこから今回はT-800が善玉になる意外性に繋がるわけで、ちょっとそこは当時の初見の人達が羨ましいかもしれない。めっちゃワクワクするじゃん、その展開。
 
もちろんターミネーターの魅力のみならず、相変わらず運命に翻弄されタフさと精神の不安定さの間で揺れ動くサラ・コナーの物語としても、ジョン少年とT-800との疑似親子物語としても、サラとジョンの親子の物語としてもどれも厚みがあって面白いです。
本作、「運命」と「家族」を上手く組み合わせてますよね。
サラは前作で運命に立ち向かう決意をするのと裏腹に息子には自分の考え(運命)を押し付けてしまっているきらいがあり、そこに親子間の不和がある。それをジョン少年が母から(引いては実の父カイルから)聞かされた「未来は変えられる。運命なんてものはない。自ら作り上げるものだ」の言葉通りの行動を示し、より良い未来を作ろうという新たな運命が生まれる。その時にサラは正しい運命との向き合い方を思い出し、ジョンとの絆も修復される。そんな親子の再生の物語として本当によく出来ています。そして、そこにT-800もまた無き「父」として役割を担い、もう親子に心配はないと察して去っていく。疑似的な子の成長・親離れまで内包しているわけで家族ドラマとしての密度が物凄いです。
 
反面、ダイソン一家が悲惨なことになってしまったのは…まあ…うん……
 

というワケで、前作に引き続きよく練られた設定、魅力的な敵、ド迫力のアクション、笑い、そして親子愛という普遍的な物語が高度に混ざり合った『T1』に引き続きテンションが上がった名作でしたね。
名作が名作と呼ばれる理由がわかったってやつですよ!しかも俺は泣くことができる。
 
超絶オススメ!!
 
『T2』がド名作なことに異論はないし最高ではあったんですが、それでも僕はコンパクトにまとめていた『T1』の方が好きかなァ……ただ今回上映したのは尺の長い特別版ということで、もしかしたらカットした方を観たら評価は入れ替わるのかもしれない。
でも前述しましたが、トークショーのてらさわホークさん同様に「『T1』で悪役として出たシュワちゃんが急に善玉になることになんだよって感情が生まれる」っていうのは事実でして。そこら辺の感情も含めて『T1』贔屓の理由の気もする(それはそれとして、やっぱりホークさん同様に親指を立てながら溶鉱炉に沈むシュワちゃんを見て涙を流す)。
 
とはいえ1、2共に傑作級なことに変わりはなく、そしてあまりの綺麗な結末っぷりに高揚。脳汁がブチ出まくって陶酔レベルだったんですが、その後にさらに2の正統な続編たる『ニュー・フェイト』の上映まであるというのが物凄いです。ただ「このまま観続けるとどうなっちまうんだ!?」とニューロンの心配をすると同時に、一つ別の思いも生まれたのです。
 
 
「これ、正統な続編とか以前に2で終わりで良くね!?」

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〈  To BE CONTINUED…Dark Fate//// |
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