映画大好きそーやさん

レオン 完全版の映画大好きそーやさんのネタバレレビュー・内容・結末

レオン 完全版(1994年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

正反対の殺し屋と少女が紡ぎ出す、歪な純愛。
リバイバル上映最終日に飛び込んで、ギリギリ観ることができました。
危なげな内容を描いているとは思いますが、本質は真っ当に愛を追求した作品だったと思います。
脚本、キャラクター、画作り、劇伴、そのどれもが冴え渡っていて、個人的には紛うことなき名作でした。
要所要所でコメディが挟まれていきますが、アクションシークエンスとの緩急として上手く機能していて素晴らしかったです。
レオンが豚柄のミトンを用いて家族を、いや弟を失った悲しさで押し潰されそうになっているマチルダを慰めるシークエンスや、一緒に長い時間を過ごしたことで芽生え始めた絆を象徴するように、水をかけあってホテルの中で走り回るシークエンス等々、とにかく二人だけの時間が垂れ流される画面が微笑まし過ぎて、ずっと観ていたくなりました。
そんな幸せな展開が、丁寧な積み重ねがあったからこそ、終盤のシークエンスは胸を引き裂かれる思いで一杯でした。
ちゃんと一つ一つの描写がつながっていって、キャラクターの心情の変化が、その行動で、その言動で、その表情でわかる、わかってしまうという底知れない切なさ、辛さに、Stingの『Shape Of My Heart』が優しく寄り添って、劇場が明るくなった瞬間深く長い溜め息を吐いてしまいました。また定期的に観たい作品に出逢うことができたように思います。
総じて、危うさを孕んだ愛を描きつつも、凄まじい映画としての強度で観客の心に残り続ける名作中の名作でした!