ファミレスで新聞を読む会社員、トイレに入ろうとするとドアが閉まっていてノックしても出て来ない。しばらく出て来なかった大手保険会社の外交員の佐々木京（田中美奈子）は足早に会社へと向かう。新規の契約を訴える朝の訓示、京は非常口の踊り場でかつての恋人だったライバル会社の近江（天宮良）と談笑し一服する。向かいのビルに、一部上場した会社「コンテンポラリー・リサーチ」が入ったと告げられた京は新規の契約開拓に行こうとするが、トイレの個室で喘ぎ声を聞く。京のライバルの井岡礼子（真弓倫子）は女を武器に新規開拓をしていた。京が初めて訪れた「コンテンポラリー・リサーチ」で、若くして外資系企業の部長の座に就いた藤原美鶴（中沢昭泰）という青年は、不思議なオーラと怪しい香りを身にまとっていた。美鶴と出会った日から、京の周りには奇怪な出来事が起きるようになっていた。いつも正体不明の女の影がつきまとい、無言電話もひっきりなしにかかって来る。美鶴のデータを調べた京は、彼が妻の死によって多額の保険金を受け取っていたことを知る。京はかつて会社にいた阿部（諏訪太朗）に当時のことを尋ねるが、阿部も美鶴の名前を記憶しているだけで詳しいことは覚えていなかった。

　Jホラー以前の名作ホラー・シリーズ『DOOR』第三弾。入社2年目でスランプに陥ったキャリア・ウーマンの女性が、向かいのビルの危険なオーラを放つ男と出会い、奇怪な事件に巻き込まれていく。その会社に一歩足を踏み入れたところから、明らかにおかしい雰囲気が滲んでいる。社内には女性しかおらず、彼女たちもあくせく働く様子もなく、スローモーションのようにゆっくりと動き出す。彼女が部長室に足を踏み入れると、そこには綺麗な顔立ちをした長身の男性がいる。主人公は彼に会った瞬間、恋に落ちるが自分の中にある警戒心が解けない。彼と会った瞬間から、周りで奇怪なことが連鎖的に起こるという設定は、後の黒沢映画を予感させる。留守番電話に流れるノイズ。こっちを見ている赤い服の女は後の『叫び』の原型のようでもある。川向かいからこちらを凝視する黒装束の女。風に揺れるカーテンなどはこの後の作品においても繰り返し用いられたモチーフに違いない。仰々しい銀色の扉を開けてしまった阿部雅夫（諏訪太朗）はまるでトビー・フーパー『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスの部屋のような重い扉の中で残酷な運命に巻き込まれる。しかしながらその諏訪太朗の警告も虚しく、最終的には南米の寄生虫を退治したものの、主人公はどういうわけか感染し、逃れられない運命の犠牲となってしまう。『CURE』然り、『回路』然り、この「感染」という言葉は、黒沢ホラーを語る上で外せないものとなる。

『DOOR』シリーズは3作まで製作されているが、その中で個人的に1番面白かった3作目を今回は紹介したいと思う。

3作目である本作品は前回の2作品との関連性や繋がりはないので、いきなり3作目から見ても問題なし👌

ストーリーは…
大手保険会社の外交員として働いている京はある日、新規の契約開拓のために飛び込んだビルで美貌の青年と出会うが、彼は怪しい雰囲気を放っており、京はその謎を解き明かすという話。

ジャンル的にはよくある心霊系のジャパニーズホラーではなく、SFホラーである。SFホラーではあるが、黒沢監督らしいJホラー感のある演出が多くて、心霊ホラー映画を好む人でも多分、楽しめられると感じた。

例えば、留守番電話に流れるノイズ、赤い服の女性がゆっくりついてくる、社内には女性しかいない、何かが後ろにいる等のゾッとする演出が印象的。黒沢監督らしさが100%溢れている内容だった。新規の契約開拓のために飛び込んだビルには何が隠されているかのミステリー調のストーリー展開と不穏な雰囲気が良い感じに絡み合っていて個人的には楽しめたかな👍

ジャンルはSFホラーと説明したが、なぜSFになるのかは後半を見れば分かるはず。社内にいた人々のおかしくなった原因が後半では判明するからだ👽

不気味な雰囲気やホラーな演出は気持ち悪くて最高だが残念な点が1つある。現在、Amazonプライムにて配信中だが、暗くて見にくかったり画質が綺麗ではなかったりと残念である。本作品をデジタルリマスター版として作り直して欲しいところだ…😅

昔の映画で古臭そうな点は多少あるかもしれないけど、Jホラー映画に慣れている俺が今、見ても気持ち悪いと感じるポイントが多いので、Jホラーマニアにはかなりオススメかな★

※トイレの中でHすんなwww

個人的に怖いフランスのホラー映画👇
【フランス編】
1位　屋敷女
2位　マーターズ
3位　アレックス
4位　ハイテンション
5位　ゴーストランドの惨劇
6位　RAW　少女のめざめ
7位　スウィート・ムービー
8位　フロンティア
9位　ガーゴイル
10位　イン・マイ・スキン

次回はイギリス編です🇬🇧
お楽しみに♪

• #ホラー
• #ジャパニーズホラー
• #SFホラー

『CURE』『回路』と同じカテゴリーのグロテスクな不気味さ。
気持ち悪さは覚悟の上。
DOORシリーズの三部作目を黒沢清監督が受け継いだと言うものらしく、前二作は観ていないのだが、物語的にはこれだけで成立してるので問題はない。
ストーリーも黒沢節満点の得体の知れない不気味さを味わえるので黒沢清好きならば楽しめるけど、なによりこの90年代のthat'sOLスタイルに包んだ田中美奈子さんだとか、この当時の今じゃありえない枕営業容認のオフィスの雰囲気だとかが興味深い。
そんでもってこの営業の女性に対する会社の枕営業の暗黙の強要がヒロイン京の暗黒への第一歩。
異様なフェロモンが匂い立つような営業先の若手社長に惹かれつつ、彼にも興味を持たれ始めた事で彼女の周りで不可解な事件が起こり始める。

なんとも言えない言い知れぬ恐怖の感染。
監督の得意分野だ。

カメラの後ろに赤い服の女の映像。
殺風景な社長室
カーテンの影など
ゾワゾワさせる演出の数々

この異常なほどに色気のある青年役に有名ではない新人を採用したことも不気味さを増している。
安易に豊川悦司とかキャスティングしてしまいそうだが、演技も素人同然な、ただ美しいだけの正体不明男性の存在が異様に気になって、タイプではないのに何故か私まで感染してしまいそう。