youki

プライドと偏見のyoukiのレビュー・感想・評価

プライドと偏見(2005年製作の映画)
4.4
この作品は数々の素晴らしいラブロマンス映画を作ってきた、イギリス発の恋愛映画です。小説「高慢と偏見」が原作のこの作品は、18世紀のイギリス人の階級格差の壁を越えた恋愛を丁寧に描いた作品です。「パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ」で有名なキラー・ナイトレイ主演の今作はイギリス映画特有の優雅でおしゃれな雰囲気がなんともたまりません。

イギリス映画のラブロマンス系の映画で有名なのは、「ブリジット・ジョーンズの日記」や「ノッティングヒルの恋人(製作はアメリカ)」などがありますが、個人的にはこの「プライドと偏見」が一番好きなラブロマンス映画です。イギリスだけにとどまらず、今まで見た映画にまで幅を広げても、この映画はかなり好きな恋愛映画です。

まず、舞台が18世紀イギリスの田舎町ということですが、そのビジュアルがとても美しいのです。役者たちが着ている衣装・年季の入った建物・馬車・広がる自然などに、見惚れてしまいます。「サウンド・オブ・ミュージック」などの映画のような風景描写が半端なく綺麗な映画はいくつかありますが、この映画もそのうちの一つです。また、あまりはっきりとは言えませんが、この映画では曇りの日のシーンが多かった気がします。実際イギリスは晴れの日が1年を通して少ない国なのでその部分もイギリスの特徴をよく描いていたなと感心しました。

ストーリーは、他の恋愛映画と比べると圧倒的にストーリー展開が遅いですし、倦怠期なども個人的には多少感じました。しかしそのゆっくりとした展開が、イギリスの身分格差の難しい関係ややり取りを丁寧に描いていたのも事実で、普通の市民が貴族社会に適応することの難しさ(食事のときのマナーが難しい、ピアノが弾けない他)が伝わってきました。

上記のストーリーで書いたように、主人公のエリザベスはダーシーへの初見の印象は最低でした。そして、ダーシー側も上品さや聡明さに欠けるエリザベスを軽視していました。両者が「こんな奴とだれが結婚すんねん!」と思っていたのです。しかしそこから、様々な体験を通して徐々に彼らの間は縮まっていきます。そしてお互いが好意を寄せるようになっていくのですが、その彼らの気持ちの変化をこの映画では時間をかけながらゆっくりじっくり描いているのです。それが素晴らしいなと思いました。

今までこの記事を読んでいてわかったように、この映画は大人向けの時代背景なども描いた超本格的なラブロマンス映画です。なので、この映画を観てつまらないという人も多いかと思います。胸キュンシーンを求めて観に行くような映画ではないのです。そもそもそんなシーン全然ありません。しかし、恋愛映画に必要な要素をすべて持っている映画はそれほど多くありません。そういう映画の模範作ともいえるこの映画の価値は世界基準でみても高いです。また、イギリスの古き良き文化を描いた映画でもあるので、そのあたりについて興味があるという人はぜひ見てみてください。
youki

youki