原作・石坂洋次郎×主演・石原裕次郎。
この頃の日活の典型ともいえる組み合わせ（他に「陽のあたる坂道」「あいつと私」「若い川の流れ」など）。
物語自体も結局は典型的で、裕次郎を活かしつつ爽やかな青春譚としてまとめられている。

若き商業デザイナーの裕次郎が、ひょんなきっかけで出会った古い洋館に住む家族。頑固な父と、その父から「外の世界の悪い空気に触れさせぬよう」にずっと洋館内で育てられた若い娘。因習や悔恨に捉われている2人だが、やがて裕次郎のおおらかな誠実さに触れて変わってゆく・・というのが大筋。

この作品に始まったことではないが、裕次郎の“個性的”な演技やセリフ回しがどうにもならぬ。どうにもならないものはどうしようもないので、気にしてはいけないのであろう。

そんな棒読み裕次郎に出会うことで変わってゆく洋館の娘、深窓の令嬢役に我らが芦川いづみ嬢。引きこもりで大人しい彼女のままでも素敵だが、劇中で裕次郎が言うとおり、この後「もっと綺麗に」なっていく様子がこの映画の私的ハイライト。ロングヘアをばっさり切ってショートにして、清楚な服をまとい街を歩く姿がとにかく眩しい。彼女目当てで観に来ているのに正視がためらわれるほどの輝きといえば大袈裟か。いや決して大袈裟ではない。外を知らぬ彼女が裕次郎に「世間的に見て私は美しいですか？」と訊くシーンがあるがこれは誠に愚問。誰がどう見ても美しいに決まっておるだろう。

彼女ともう一人、裕次郎の影響で変わるのが東野英治郎演じる洋館の主人。英治郎が娘を家に縛り付ける要因となった元妻役に轟夕起子。東野英治郎はとにかく、轟夕起子が若くどこか頼りなげな役どころの演者陣～他に中原早苗や小高雄二など日活おなじみのメンツ～の中にあって、物語をしっかりを締める役割を果たしている。

あとここでも北林谷栄さんはいつものお婆さん演技でした。この時おそらくまだ30代。

「芦川いづみの映画」って感じだった。世間知らずのお嬢様が少しづつ外に出て成長してく話。
ローマの休日に似てるけどそれこそ彼女が髪を短くするシーンもあって”和製オードリー・ヘプバーン”と言われるのも納得。ちなみにこれは別の映画で髪を切っちゃって辻褄合わせのためにこの映画でも切ったことにしたらしい。

「あたしは、外の世間の娘さんたちに比べて、綺麗なんでしょうか？それとも見栄えがしないんでしょうか？」なんてこの人じゃないと言えないセリフよね
あぐらかく座り方とか値引きの練習するシーンかわいかった。

この映画に限らずだけどこの時代の映画はセリフがとても丁寧で綺麗で憧れる。

サブキャラもみんないい味出してる。中原早苗演じる島村とその兄のいいな。「せめて自分が負けたことを認めるぐらいの素直さを失いたくないからな」

使用人の夫婦も意味もなく横文字の単語を多用するの面白かった。

とにかく芦川いづみが輝いている映画でしたので彼女の入門映画として色んな人におすすめできるな。
そして意外と彼女の主演作でガッツリ恋愛を扱ってるもの観てない気がする。いつも家族の絆的な方向に話が進んでいくような

2024.6.2 Prime Video
2023.6.4 Prime Video
今回の芦川いづみさんは、今どきには浮世離れした感じのお嬢様👸
出てきた瞬間のコレじゃない感は異常😂
いったいどこの世界から飛び出してきたのかと思ったよ(笑)
社長令嬢とは言え、箱入り娘にも程がある

小高雄二・中原早苗の兄妹はいづみさんの良き理解者になると思われたが色々と残念な方々だった

母親役の轟夕起子の貫禄よ
大坂志郎への豪快な張り手、いやビンタめっちゃ痛そう(笑)

殿山泰司・北林谷栄の使用人夫婦がとてもいい味を出してて微笑ましい

殿山「お、奥さま！」
轟「ま～すっかりオツムが寂しくなったこと」は草🤣