『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』
原題La Mome　　　製作年2007年。140分　　　　　　　　仏国・英国合作。
1915年、第1次大戦中の貧しい家庭に生まれ、祖母の娼館に預けられて育ったピアフは、路上で歌って日銭を稼いでいたところを見出され、プロデビュー。
瞬く間に人気歌手へと成長するが。。。

歌手の中でもエディット・ピアフほど波乱万丈な人生を送った人はいないんちゃうかな。
第一次大戦中のパリの貧民窟に生まれ、わずか四十七歳で生涯を閉じた。
母ちゃんは淫靡な歌手願望。
父ちゃんは大道芸人。
幼いころノルマンディーで売春宿を営んでいたばあちゃんのもとで育ち、三歳から七歳の間、失明に陥り、神に祈るなかで、彼女をわが子のように可愛がる娼婦と一緒にリューのテレーズへ巡礼することで奇跡的に視覚を取り戻したとの云う伝説。
幼少のころから、社会の底辺にあえぐ人々の中でも彼女の変わらぬ神への憧憬。
万人の人々への優しいまなざしを持ち続ける原動力となったに違いない。
数奇な人生はなおも続くねんなぁ
これがまた数奇。
彼女を路上で掘り出したナイトクラブのオーナー、ルイ・ルブ レー(ジェラール・ドパルデュー)との出会い。そして、その殺害。
加えて彼女自身が共犯被疑者となる。 このルプレーがたった百四十二センチの身長しかなかった彼女を
"La Mome Piaf"(小さなスズメ)の芸名をつけた。
そして半ば歌手の道を閉ざされたところに、作詞作曲家のレイモン・アッソに見出され、 過酷な特訓を受け本格的歌手の道を歩むことになる。。。
まだまだ続く彼女の数奇な人生。
興味を持たれた方は是非とも観てくださいな。
ところで、日本の結婚式でよく歌われる『愛の讃歌』実は、あれは愛のスタートじゃなく
『不吉』をともなった歌であることを知ってか知らずか日本人は目出度い席で歌う。
作中で世界的名声を得る彼女の前に現れた妻子あるプロボクサーであるマルセル・セルダン(ジャン=ピエール・マルタンス)との大恋愛をし、だがその恋愛もわずか二年間。
マルセルは飛行機墜落事故で亡くなる。
このマルセルへの思い出の愛を綴り、唄ったのが『愛の讃歌』。

映画は、ピアフに扮するマリオン・コティヤールの独演会やと云えなくもない。
二十代から死ぬまでの過酷な役をほんま堂々とこなしている。
しかもマリオンは長身であり、ピアフは150センチにも満たない。
ピアフにクリソツな顔や、リューマチや麻薬に侵された痛々しい姿を見事に演技していた。
それだけではなく、孤独な彼女の内面を細やかに描いていて観ていて泣けてきた。　

あるときエディット・ピアフの死ぬ直前のインタヴューでインタビュアーの質問にこう答えてる。
『女性へのアドバイスは？』
『AIMEZ (愛しなさい)』

『若い娘には？』
『AIMEZ (愛しなさい)』

『子供には？』
『AIMEZ (愛しなさい)』
美輪明宏が云ったら胡散臭いけど、ピアフなら自然で、これこそが彼女の生涯の思いやったんやろな。

最後まで歌い続けたピアフ、失明ちゅう奈落の底から神に祈りを続けて来たにも拘わらず、その神は、 彼女に数えきれない茨の道を与えてきた。
その苦難に耐えて後悔しない、短いあまりにも短い生涯を閉じたピアフに崇高な神々の息吹を感じる曲を最後に抜粋します。

Non, je ne regrette rien　　　水に流して　　　　　《宇藤カザン訳》

Non, rien de rien
Non, je ne regrette rien
Ni le bien qu'on m'a fait
Ni le mal, tout ça m'est bien égal
Non, rien de rien
Non, je ne regrette rien
C'est payé, balayé, oublié
Je me fous du passé

いいえ、ぜんぜん
いいえ、何も後悔していないの
過去のいいことも悪いことも
何もかもがどうでもいいの
いいえ、ぜんぜん
後悔しないわ
過去の償いはしたわ、
清算したわ、忘れたわ
もう過去のことははどうでもいいの


Avec mes souvenirs, j'ai allumé le feu
Mes chagrins, mes plaisirs, je n'ai plus besoin d'eux
Balayées les amours, avec leurs trémolos
Balayées pour toujours, je repars à zéro

想い出も、悲しみも、喜びも
みんな火を付けて燃やしてしまった
そんなものはもう私に必要ではないの
過去の愛も、
その余韻といっしょに清算したわ
私はすっかり片をつけたから、
ゼロからやり直すの


Non, rien de rien
Non, je ne regrette rien
Ni le bien qu'on m'a fait
Ni le mal, tout ça m'est bien égal
Non, rien de rien
Non, je ne regrette rien
Car ma vie car mes joies
Aujourd'hui, ça commence avec toi

いいえ、ぜんぜん
いいえ、何も後悔していないの
私にしてくれた、
良いことも、悪いことも、
私にはどうでもよかった
いいえ、私はなにも後悔していないの
私の人生も、私の喜びも
今日からあなたと始めるの

マリオンコディヤール演技すごい！！

エディット•ピアフ　愛の讃歌

鑑賞しました！👏

こんな壮絶な生き方されてたんですね。
エディットピアフの曲ばかり聞くほどのファンじゃなかったけど、やはり有名曲は
すべて耳馴染みがよく、聞いたことあるとはっきりわかるものもありました。

モルヒネ中毒とは、、、辛かっただろうな。
最愛の男性についても、、、

彼女は苦しい現実ばかり
背負わなければならず、
そして力強く歌った。
このエネルギーのサイクルはまるで
拷問のよう。
彼女はそれを心から歌に変えた。
もう耐えられない、っていうのが当たり前だ。でも歌だけは側に。

色んな生き方があるね。
砂浜で編み物してたピアフがかわいかった

“歌ってこそ人生じゃないの。”

フランスの国民的シャンソン歌手エディット・ピアフの生涯を綴る。幼い頃から貧しく売春婦の中で育ち、47歳という若さで亡くなった彼女の波乱の人生とそれを表現する力強い歌。この映画でアカデミー主演女優賞を獲得したマリオン・コティヤールの演技力と歌唱力には誰もが有無を言わず納得してしまう。

• #ノンフィクション映画録
• #Paris(France)