平野レミゼラブル

桐島、部活やめるってよの平野レミゼラブルのネタバレレビュー・内容・結末

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

視聴前「わぁい青春モノ!レミゼ青春モノ大好き!!」
視聴後「青春は青春でも地獄の方の青春かよ!!」
原作未読だったけど、原作者が「何者」の朝井リョウの時点で察するべきだったよ!クソァ!!

えー、本作の感想って合わせ鏡のようなもので、観た人がどんな青春を送ったかによって感想どころか視点すら違ってくると思うんですよ。
例えば本作でいう野球部のキャプテンであったり、バレー部の面々であったり、最後になんか吹っ切れた吹奏楽部の子であったりそんな青春を過ごした人にとっては結構爽やかにあるいは懐かしく観ることができたんじゃないかな?
俺?俺はスクールカースト最底辺の青春を過ごしたから気分は最悪だよ…惨めだし、哀しいし、死にたい気分だよ……

大体暇だったからで「鉄男」をわざわざ観る女子高生なんて普通ワンチャンだと思うじゃん!!
それなのになんだよ、あの連れない態度はよォ!?
神木くんは悪くないぜ!俺が味方だよ!!

本作でのスクールカースト最底辺代表である映画部部長の神木隆之介は、ゾンビ映画を撮影しているわけなんですけど、あのゾンビってまんまスクールカースト最底辺の存在そのものなんですよね。
ゾンビだからこそみんな平気で迫害していく。
いや、本作の迫害ってそれこそゾンビを撃退する直接的なものではなく、遠巻きにクスクス笑ったりするナチュラルに異物として扱うもので、それが嫌にリアル。というか自分の学生生活そのものだった。
多分被害妄想じみてる部分もあるけど、クラスの大半の女子に笑われていたと思う。現に俺がなんか言葉を発するたびにニヤニヤされてた気が…やめようかこの話。

だからこそ、桐島を巡ってジョックどもが屋上に集まった時のゾンビ達の反撃には心踊った。
あの一連の流れは正しくゾンビ映画であり、最底辺の反撃であり、下克上であり、復讐であった。
でもすぐにゾンビどもは鎮圧される。何故ならスクールカースト最底辺だから。ひ弱な文化部だから。相手は屈強なスポーツ部だから。
……なんか涙が出てきた。

その後のカースト最底辺の神木隆之介が、カースト最上位の東出昌大に対して何気なく発した言葉こそ「最大の反撃」となった展開には非常に感心したし、本当に自分も頑張ろうと身に染みる思いではあったが、もうその頃には精神は限界を迎えており早くエンドロールに行ってくれというのが正直なところ。
本当にこの映画、最底辺にとって全てが突き刺さる刃物なんですよ…勘弁してくれ……

2度と見たくはないけどオススメ!!