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喜劇 男の子守唄
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『喜劇 男の子守唄』に投稿された感想・評価

☆☆☆★★

※ 鑑賞直後のメモから

大阪万博直後の高度成長時代真っ盛り。終戦前後の闇市を生き延びて来た、今はチンドン屋の男がフランキー堺。
お世話になった姉御の子供が、命よりも大事と育てている。
この男が好きな女性が、婦人警官の生田悦子。
隣に住むキャバレーの女と、闇市時代に〝ラクチョウのお竜〟の2役には倍賞美津子。
今は成り上がり貸し金女王が〝天王寺のお蝶〟ことミヤコ蝶々。

子供が重要な位置にいる典型的な《母モノ》だが、主人公が父親とゆう逆転現象になっている。

話自体は多くのひとが予想する通りの内容。
特にこれと言った内容でもないのだが。チラッと映る戦後の焼け跡だったり、闇市のセットがなかなか良い。『肉体の門』を彷彿とさせる、倍賞美津子(2役)とミヤコ蝶々のやり合う演技がまた良い。
フランキー堺はチンドン屋の格好で、元祖シティスリッカーズのスパイク・ジョーンズっぽい姿を披露し。《フランキー堺とシティスリッカーズ》時代をほんの一瞬だけ垣間見せる。

気の強い隣人のキャバレー女役の倍賞美津子が凄く良いのだけれど、何と言ってもミヤコ蝶々だ!
もう素晴らしいの一言。
誰にも止められないミヤコ蝶々の世界ここにあり。
あまりの凄さに声も出ないくらいです。
最早、これ程までも芸達者な人は出ないのだろうなあ〜(泣)

但し映画として残念なのは、フランキー堺が1番大事な〝もの〟を闇市仲間と自分の思い出の為に手放してしまう辺り、観ていてもちょっと悲しい。
普通ならば、その後にもう一山ある筈だけどなあ〜。結局そこで終わっちゃうのが…。

ゲスト出演で菊池章子が1曲歌う。同じくゲスト出演のバタやんは2曲。やはりゲスト出演の財津一郎は大いに笑わせてくれる。

2010年7月19日 シネマヴェーラ渋谷
K
5.0
まもなく生誕100年記念を迎える森崎東と義兄弟の盃を交わしたに違いない前田陽一と彼らの映画に身を張った大馬鹿者どもの勇姿をみなおす機運が高まっている(ハードーシタドシタイ)ションベンライダーに助っ人ように登場する倍賞千恵子と財津一郎の気合い入りようはなんだ(ハーソレカラドシタイ)映画館から涙なみだで身をあとにした思い血は絶やさない
一
-
チンドン屋フランキーと、かつて戦災孤児であった自分を拾って育ててくれた売春婦お竜の息子・太郎、隣人の三流ホステス倍賞美律子がロールプレイするニセ家族。『喜劇 命のお値段』や後年の『喜劇 家族同盟』でも繰り返される“ニセ”のモチーフがやはり登場する。そして『喜劇 日本列島震度ゼロ』にもあったカタストロフへのある種の憧れは、ここでは東京大空襲の焼け跡・戦後の闇市に対するノスタルジーとして噴出する。1944年の焼け跡が火事とコスチューム・プレイによって1972年に再現されるエンディングが素晴らしい。回想と現在でそれぞれ一人二役を演じる倍賞と子役の小松陽太郎が、1944年の「親」≒お竜と「子」≒子供時代のフランキーとして1972年に蘇る瞬間、今まで観てきた前田映画の中でも最もストレートに感動させられる。当然オレはまた泣いている。劇中序盤で悪人として登場した金貸しババア・ミヤコ蝶々と闇市成金・森川信をも焚き火を囲む輪に包摂する優しさにも涙。『日本列島震度0』では灰田勝彦の歌う“東京の屋根の下”(1948)が非常に強い印象を与えたように、本作で取り上げられる菊池章子の歌う“星の流れに”(1947)の使い方もホントにイイ。娼婦をモチーフにした暗い歌謡曲だが、思えば前田陽一の監督デビュー作は赤線を舞台にした『にっぽん・ぱらだいす』だった。

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