にっぽん・ぱらだいすの作品情報・感想・評価

「にっぽん・ぱらだいす」に投稿された感想・評価

女の子はたくましい。
男の子は情けない。
これすなわち、世の理なり。
櫻

櫻の感想・評価

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赤線廃止前夜。私たちは生きていくために働いているのだ、と世間体など気にせずに、時に笑い飛ばしてあっけらかんと力強い彼女たち。生活の営みの肯定がつよく関係しているのだと思う。だからこそのこの喜劇。しかし、この明るさこそ彼女たちに用意された未来が決して明るくはないということに、より一層深く哀しく陰影をつけている。
赤線廃止までの話。

香山美子のエピソードは全部好き。
お妾さんに行くときの幸福な感じとか。
養女かよ!っていう。
浦辺粂子の奥さん神様みたいだった。
「文芸映画を撮らないことがわたしのちっぽけな誇りです」と言った映画作家の風俗映画の佳作 前田陽一「にっぽんぱらだいす」

堀出し、蔵出し映画です。
こんな映画を週一くらいで上映する映画館がかつてはどの街にもあったのに。
だからこそ才能ある映画人が出てきたのです。

それにしてもラストのヒロインの自殺、頭の悪い私にはいまだに謎です。
filmarks参加者の方で分かりやすく解説していただける方はいらっしゃいませんか?
赤線のお話し。
つらい世界を描いてますが、そんな中にもクスッとするような ほっこりするシーンも多々あって、救われます。
皆さん華やかで美しい点も見どころです。

このレビューはネタバレを含みます

☆☆☆☆

売春防止法による赤線廃止を描いた作品としては、溝口健二の『赤線地帯』が広く名作として知られているが、前田陽一監督によるデビュー作のこの作品も、溝口作品と堂々と渡り合う程の秀作です。

戦後GHQを相手に、疎開していた赤線の娼婦達を従軍慰安婦の様に働かせて稼ぐ男に加東大介。

その息子で、父親の仕事を嫌う引き揚げ兵に長門裕之。

彼が恋していた娘で、ウブな生娘からやがて花街一のミス花魁にまでなるのが香山美子。
その香山を水揚げする材木問屋の旦那には益田喜頓。
更には女子大生ながら、夜の女を取材する目的で花街へ入るのが加賀まりこと言った顔ぶれ。

他にも終盤で香山に入れ込んだ男達を取材するジャーナリストとして菅井一郎が登場。赤線最後の日に於ける彼の演説等は、新劇俳優である菅井一郎らしい演劇的な場面。

益田の妻役の浦辺粂子の考え方や、やはり香山に入れ込む学生勝呂誉等々。

遂には父親の仕事を嫌っていた長門が後を継ぎ…と。赤線は廃止されたが、新たに生まれた《トルコ風呂》に移行する経営側の強かさに対しては、より良い条件に移る女達の逞しさ。

その中にあって、男達に愛され。自らも1対1で彼等と接していた際には“恋人”でいようと努めた女の、時代に取り残された悲しい想い…。

「お腹減っちゃった…」

その一言で全てを観客に伝える名台詞で、夜に生きるの女の悲しく儚い部分が浮き上がります。

山本直純による軽快な音楽が、作品当時の時代色と共に、喜劇性の中に潜む愚かさを際だたせる。

(2010年7月10日 シネマヴェーラ渋谷)
赤線映画。現象やスタイルを風刺まじりに描くことが先んじて、肝心の人間がそれぞれ役目として動いてるようにしか見えなかった。

「あたし、お腹すいちゃった」で胴上げしちゃうのが松竹喜劇なんだろうな、うん。
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.0
ドライな感じが凄い良かった。
登場人物がみんな建前とか信条をあっさり覆しまくってることで時代のグルーヴ感出てるし、そのためこのような業種の存在感も揺るぎないものになってるというか
勝五郎

勝五郎の感想・評価

3.7
2015.08.04 新文芸坐
好きですねぇ…
昭和の赤線や薄幸でもたくましく時に朗らかに生きている女性達のなんて可愛いこと。

香山美子は水揚げから出戻りを含めたベテランぶりも鮮やかです。
個人的にはホキ徳田がいかにも昭和の女性って感じで好きだなぁ。

そして長門勇(笑)。
tapes201

tapes201の感想・評価

4.3
主演の香山美子が少し垢抜けないけど、赤線ものでもっと評価されていい一作。状況を忌憚なく開けっぴろげに、しかしながら、真摯に描いていて、とても面白いです。香山美子は、個人的に「江戸川乱歩の陰獣」における怖いくらいの艶っぽさ(単にタイプという話だけど)の印象が強過ぎての冒頭の一文、ですので、お気になさらず。良い映画だと思います。
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