「KIDDO キドー」の中でカリーナが観ている映画の名前がわからない、とレビューに書いたらyukkonさんにこの映画だと教えてもらいました。ありがとうございます！
　
　「KIDDO 呪いの血」でググってみたら、町山さんのツイートがただ1件ヒットしただけ！
　さすがは町山さんだし、yukkonさんも凄い！
　
　監督は「西部戦線異状なし」や「赤い子馬」などのルイス・マイルストン。脚本は「オール・ザ・キングスメン」「ハスラー」のロバート・ロッセンという布陣。
　出演はバーバラ・スタンウィック、ヴァン・ヘフリン、それに本作がデビュー作となるカーク・ダグラスなど。
　あと、特筆すべきはノン・クレジットの脇役に何とブレイク・エドワーズ！
　
　Amazon Primeでは、映画のスタッフやキャストのほかの作品が人物ごとに表示されるが、そこにブレイク・エドワーズの名前があったんでびっくりした。ヴァン・ヘフリンがアイヴァースタウン近くで自動車事故を起こした時、助手席に乗っていた水夫の役でした。Amazon、金を払ってるのに冒頭にCMを流すという暴挙を始めたんでむかっ腹がたってたんだけど、たまにこういうことがあるんで、まあ許そう。
　
　ちなみにカーク・ダグラスは、同じ演劇学校AADAの同窓生で、先にデビューしていたローレン・バコールに、本作のプロデューサー、ハル・B・ウォリスに推薦してもらったことでこの役を獲得したんだそうです。
　
　物語はノワール風味の愛憎劇と言ったところ。町山さんがツイートしているとおり、渋すぎる作品でした！
　
　もう一人のヒロイン、トニを演じたリザベス・スコットが美しすぎてびっくりした。私はそこそこ古い映画を観ている自負があったんだけど、この人は初めて見ました。フィルマには18本にクレジットされてるのに……。人生、まだまだ勉強です。
　バーバラはこの人が自分が目立たないようにあれこれ画策したんだそうです。恐ろしいことじゃ。
　
　さて、本作にも「オズの魔法使」クォートを発見しました。
　ヴァン・ヘフリンがリザベス・スコットをホテルに連れて行ったところ、受付の姿が見えない。
　そこで、「Come out, come out, wherever you are」。
　
　ヴァン・ヘフリンは本作の3年前、1943年に「Presenting Lily Mars」でジュディ・ガーランドと共演してますが、本作1946年は「オズ～」から僅か7年後。こんなすぐに「オズの魔法使」クォートがあったなんて驚き。
　
　もっとも、1943年にシナトラが「Come out, come out, wherever you are」という曲を発表しているんで、こっちからの引用の可能性もあるけど、このタイトルがそもそも「オズ～」を元にしているわけで、どっちにしたって「オズ～」に接続するわけだ。
　ちなみに1946年といえば、ジュディはばりばり現役の頃で、この年は私の大好きな「ハーヴェイ・ガールズ」に出演してますね。
　
　となると、私がちょっと困ってしまうのは、これは私が常に論じてる「ハリウッドはオズの引用を繰り返すことによってジュディの御霊を鎮魂している」という説の反証になってしまうこと。
　参ったなあ……。
　
　とはいえ、オズ引用がジュディの死後の映画に圧倒的に多いのは間違いないことなので、「生きてるうちから引用はあったけど、死後それが圧倒的に増えたよ」ということにしておきます！

面白かった。
心理サスペンスが丁寧に描かれている。

立ち寄った故郷がこんなのって、、、嫌だなあ。


嫌っていたはずの叔母アイヴァース夫人が、怨念のようにヒロインの人生に影を生み、ヒロインの背後にはアイヴァース夫人の非人間的な強さが、皮肉にも血筋なのか被ってみえる可笑しみ。


本作はなかなか掴みどころが難しかった。ヒロインとヒロインの夫と久しぶりに故郷に立ち寄ることになった幼馴染みが、それぞれ場面場面でその心情が変化をみせていて混乱する。

ヒロインは誰を愛していたのか、ヒロインの夫は純粋故に病んでいるのではないのか？、幼馴染みは巻き込まれるのが億劫で、ただ車の修理で立ち寄っただけではなかったのか？

何を求めているのかもはやわからなくなったのではなかろうか、3人。
その中、巻き込まれた幼馴染みの恋人が可哀想すぎる。


少し違ったら傑作だったかも。
ただこのキャストは一見の価値有り。
回数重ねて観ようと思う。

ジュディスアンダーソンはここでも天晴れ！