無頼の谷の作品情報・感想・評価

「無頼の谷」に投稿された感想・評価

cinefils

cinefilsの感想・評価

3.8
ディートリッヒが登場してから映画が走り出した感じ。主役はアーサー・ケネディではなくも少し感じのいい二枚目だったら見やすかったかも。

ゴダール「軽蔑」でBBにラングを紹介するときに言及された映画。
これはいかにも50年代西部劇。ラングらしい暗いニュアンスが含まれていて、黄金期の西部劇にあった均整が崩れている。男同士の友情もどことなく倒錯的な雰囲気を感じさせる。主人公の行動動機が最初から最後まで復讐を果たすことにある点や、マレーネ・ディートリヒ演じる怪しい女はいかにもフィルム・ノワール的。
オープニング・シークエンスの圧倒的スピードにも感嘆。
犯人が分かった直後、マレーネ・ディートリッヒに爆発するアーサー・ケネディの暴力性。これ程までに暴力的なフリッツ・ラング映画の主人公がいただろうかと狼狽える。
tjr

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3.5
熱い接吻と「キスほど良いものはない」という名台詞で掴みは抜群だが、その後はラングにしては面白みに欠ける気が。
ディートリッヒが馬牧場の経営者。男が皆夢中になるほどの良い女に見えず…男にまさに馬乗りになって競争する狂った遊戯シーンは良かった。
婚約者を殺した犯人を追う。独特なテーマソングが時折顔をのぞかせる。

マレーネディートリッヒと言えば、ワイルダーの情婦で初めて知ったのだけど、モロッコ、嘆きの天使にもでとんしゃあごたー。
P後輩

P後輩の感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

ラングは主人公を「悪の世界」に行かそうとせず、ラストは本人に復讐させない演出をとっている。主人公のアーサー・ケネディではなく、メル・ファーラーの放った弾丸が(復讐の)ターゲットの身体に被弾する。だから「復讐もの」としてのカタルシスが少ない。それでもけっこうおもろい。散髪屋での格闘シーンとかなかなかいいし。

相変わらず嫌な脇役でジャック・イーラムの姿が。
どーでもいいことだが、アーサー・ケネディを見ると(この頃あんまり見かけない)アンドリュー・マッカーシー を思い出す。マレーネ・ディートリッヒは櫻井よしこ女史にどこか似ている(あんまり認めたくないが)。
あとメル・ファーラーの三度目の奥さんはヘップバーンと知ってビックリ(あの顔はちょっと濃すぎるを通り越してる)。
masayaan

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4.0
巨匠、フリッツ・ラング、渾身の西部劇。オープニング・ショット(見てのお楽しみということで・・・)を見ただけで確信せざるを得ませんでしたが、これは名作です! ラングは数えるほどの作品(37年の『暗黒街の弾痕』、44年の『飾窓の女』、53年の『復讐は俺に任せろ』)しか見てないけれども、その中では一番好みかもしれない。西部劇の文脈で見ようとフィルム・ノワールの文脈で見ようと、面白いのであまり関係ないと思います(マーク数、少なすぎでしょ・・・)。

しかし、何というか、これもまた人を暗い気持ちに誘う映画で、銃が抜かれることによる活劇的なカタルシスは皆無。物語は、ある家畜飼いの男が、8日後に結婚式を控えた恋人を強盗強姦殺人で失うことで起動します(「復讐は俺に任せろ」!)。彼はその現場にいなかったので、犯人の顔を知らないまま荒野へと飛び出すわけですが、見知らぬ街での犯人探しというサスペンスがまずあり、ならず者が集まる秘密の館にはバイオレンスへの予感が充満しています。

そして、『飾窓の女』ばりに幻惑の美女がいくつかの意味で物語の中心に据えられます。このへんはいかにもハリウッド的な仕掛けだけれども、回想シーンの中で、女が酒場の歌手をクビになり、その足で店内のギャンブルに向かい、退職金を全額賭けるまでのシークエンスは理屈抜きでわくわくしました(人は誰だって、いつかそんなことをする日が来るのを待っているのです)。90分という、映画にもっとも適した尺での無駄のない語り口。西部劇をディグろうという人にはおススメです!