horahuki

野獣死すべしのhorahukiのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
3.8
タバコ vs ヘロイン!

ナポリで暗躍する密輸業者同士の潰し合い!主人公ルカの属するタバコ密輸業者に喧嘩を売ってきたのは、ナポリにヘロインを持ち込んで儲けようと画策する麻薬王!古参のタバコか新参のヘロインか…ナポリで覇権を取るのはどっちだ!?って感じのフルチ製マフィア映画。

超楽しい!!これもうホラーじゃない?ってくらいに気合の入った人体破壊描写の連続。前半は一才そんな兆候を見せずにマフィア映画してたのに、女の頬に当てたライターが顔の片面を溶かし尽くすレベルで欠損させていくシーンから急にアクセルが入り、銃口を口に押し込めば後頭部から脳みそが弾け飛び、撃たれれば内臓が溢れ出て、首が抉れ、顔面が完膚なきまでに崩壊する。不必要とも思える行き過ぎたゴア描写を本作特有のアイデンティティへと昇華させてしまうあたり流石のフルチ!

主人公ルカは自身の親代わりとも呼べるマフィアの大先輩を、何者かの裏切りによって目の前で殺害されてしまう。内部に裏切り者がいると踏んだルカは、危険だからと奥様が反対する中、数人の信頼できる仲間たちとともに裏切り者を探り、また同時にその首謀者である敵対組織の麻薬王へと復讐を開始する…って流れ。

紹介されるキャラクターは次から次へと容赦なく、かつ惨たらしく殺されていく残虐な展開と、その度に見本市のように炸裂するフルチらしいゴア描写。それらが、安全地帯など存在せず出口もない地獄に放り出されたかのような感覚へと観客もろとも誘導し、予想され得る「最悪」を物語は突き進む。

そんな感覚的にドライな内容でありながら、西部劇とか何か色々なテレビをチャンネル変えながらひたすら見ててる金持ちジジイのカットが途中何度もコメディチックに挿入されるのと、超可愛いルカの幼い息子さんがお馬さんに乗っかって「わーいわーい」やってるのに癒された。しかもこのジジイさんが出かけるところは激アツすぎて、こういうのが見たいんだよ感出まくっててサイコーだった!

私はVHSで見たのだけど、絶対にVHSでは見ない方が良いと思う。トリミングされてしまうのはVHSでは仕方ないのだけど、右4分の1くらいをガッツリカットするのは流石にやり過ぎ!そのせいでタイトルコールとかクレジットとか、普通真ん中に表示されるのにエゲツナイくらい右側に寄ってて笑った🤣しかも左右を分かれてキャラが会話するシーンでは右側の人の顔が映ってないとこがチラホラ…。内容はめちゃ面白いのに、日本版はこんな酷いVHSだけとか舐めてる!!
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