むぅ

縞模様のパジャマの少年のむぅのレビュー・感想・評価

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
4.3
指先まで冷たくなる

ラストシーンが近づくにつれ、こんなにも胸騒ぎがして、そうならない事を祈った映画はないかもしれない。

衝撃を受けた、という言葉で片付けてはいけないと思った。
この作品に衝撃を受けるなら、今までに観たホロコースト、人種問題、人が人の命を奪うことを描いた他の映画も同じ様に感じるはずなんだと思う。
そうではないのは、やはり彼らの間にあったフェンスのこちら側で私は観ていたからなんだと思う。
観終わって自分が受けた衝撃を噛み砕いている時に、突きつけられた自分の甘さに身体が冷たくなってしまった。

ブルーノの眼が良かった。
大人達の目配せ、姉の変化、不穏な空気、煙突の煙、初めて出会った向こう側の少年、そこから何かを探そうとする眼が純粋で優しくて辛かった。
つい眼を逸らしてしまう事がある自分を、ブルーノにまっすぐ見つめられたように感じた。
ちゃんと見つめ返したい。
むぅ

むぅ