スティングが謎の男を演じるスリラー。
交通事故で植物状態になってしまった娘を持つ父親の前に、娘の友人と名乗るスティングが現れ、押しの強さと不思議な魅力で家族の中に入り込もうとする話。
スティングの映画初主演作らしいんですが、彼をはじめとした役者さんの演技が良くてグイグイ引きこまれる。
麻痺状態の娘を演じる女優さんも、ちゃんと喋れない＆身体が動かない役柄だからこそ目の演技でしっかりと語る。
自らが娘の事故の原因であるうえ、心の奥底に淀んだものを抱えながら葛藤する父親の演技も弱々しくて実に良い。
家族それぞれが何かしらの闇を抱えていて、尚且つそれらが渦巻く家庭に謎多きスティングが飛び込んでくる事により各々の感情がどんどん掻き回される。
最後まで観ても「何だったんだろう」という疑問は取り除かれないし、一見幸せに思える展開も感情という視点で観ると何も解決していない。
最初から最後まで胡散臭くて湿っぽい余韻の残る映画だけど何処かクセになる。
私自身スティングもポリスも名前知ってるくらいの知識しかないんだけど、それでも彼の演技や音楽の魅力を十分に感じられた一作。
この映画の奇妙で怪しくてジトジトした雰囲気が好き。
