平野レミゼラブル

神弓 KAMIYUMIの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

神弓 KAMIYUMI(2011年製作の映画)
3.2
『最終兵器、それは弓』

火縄銃が台頭する前に戦場での死因の大多数は弓矢によるものであったという。
そんな歴史上猛威を振るった弓矢だが、創作物においては添え物というかあまり前面に出てはこない。
だってみんなチャンバラの方が見たいだろうし、轟音鳴り響く銃と違ってなんか地味だから。
本作はそんな不遇の武器、弓矢アクションを最大限に見せてくれる。

本作の時代背景は丙子の乱。あまり日本には馴染みがない合戦だが、物語自体は人生に絶望していた兄が最愛の妹を助けるために奮戦するシンプルなアクション映画なので予備知識は一切必要ない。
シンプルなアクション映画にしては長い2時間尺なため、戦闘以外の前半には見所が少ないのだが、後半の逃亡パートからは圧巻の弓矢アクションが続く。
逃亡しながらも狙撃ポイントを素早く確保したり、矢をあらぬ方向へ曲げての奇襲、敵を誘導してからの1ショット2キルと最終兵器弓矢の可能性を限界まで引き出している。

何より主人公だけでなく、敵も超破壊力の弓矢を用いてきちんと弓矢vs弓矢の構図に持ってきているのが熱い。
荒野のガンマンよろしく2人対峙してからの弓矢対決も完備しており、今まで銃で見てきたアクションをも新鮮に映している。
弓矢一本勝負で描き出す新機軸歴史アクションとして一見の価値有りだ。