ねこ無双

死んでいるのは誰?のねこ無双のレビュー・感想・評価

死んでいるのは誰?(1972年製作の映画)
4.0
『暴行列車』のアルド・ラド監督。
子供が歌う讃美歌のような歌が狂ったようにずっと鳴り響いていて、静かな暴力性を感じるというか…。
子供たちが「かごめかごめ」のような遊びの時もこの歌を歌っていて童歌のようなものなのか。

父と別居していた幼い娘。
ヴェニスに住む父親の元を訪れ久々の再会を楽しむが、突如娘は行方不明になってしまう。
父親は必死に娘の行方を探すが…。

水の都ヴェニスが舞台となっていて美しいです!
霧のかかった街並みがミステリアス。
撮影(フランコ・ディ・ジャコモ)、音楽(エンニオ・モリコーネ)、素敵です。

印象的なカットが多々あって…。
冒頭、雪山の殺害シーン、
犯人の黒いヴェールから透けて見える雪景色。
大きな鳥籠から解き放たれた小鳥たちが収拾なく飛び交う中の死体。

炎に巻かれた落下の反復ショットのしつこさには思わず笑ってしまったし、
ラスト、登場人物が声をかける間もなく舞台から退場してしまう…、
その変な味わいも面白かった。

ただ謎も錯綜しすぎて、犯人が出てきた時に、え〜と、この方どちらさまでしたっけ…と置いてけぼりになってしまった。
でも、映画の雰囲気はもう言うことないです。ステキです。ムード満点ジャッロ。