300post記念に、マイオールタイムベスト（をもし決めるとしたら）必ず入れたい一作を投稿します。

好きすぎてどう書いていいのかずっとわからなかったんですけど、
なんていうか
とにかくエロい。そして哀しい。
アルゼンチンタンゴがエロい。
1930年代がエロい。
娼婦がエロい。
バンドネオンがエロい。
盲目の奏者がエロい。
クジラがエロい。
病室のバアさんまでエロい。
電球がエロい。
パタゴニアがエロい。
そして、とにかくとにかく哀しい。

随分と久しぶりにスペイン・アルゼンチン製作の作品（日本未公開）を観た。
やっぱりスペイン語はいいな〜🇪🇸🇦🇷

フォロワーさんから教えてもらった作品、そうでなければ埋もれたままだった。

題名からして惹かれ、秘め事が匂う感じ♪
ただ、独特な雰囲気なので好みが完全に分かれるでしょう。

題名にある鯨。クジラの平均寿命は大型の方が長寿とされ、約100歳を超えて生息するという。その長生き鯨🐋に関係していますが、決して生物映画ではありません。

1930年代のアルゼンチンと現在を行き来します。全体の繋がりを捉えるのに少々時間が必要かな？若干ややこしい感じは否めません。

現代作家のベラは乳癌に冒されています。
元恋人の編集者から古い映像や手紙、写真の数々を見せられ興味が湧き、その調査のためにスペインからアルゼンチンへと旅立つことになります。
過去に生きた写真家エミリオとロラの旅に同行するような作りです。

女性向きの作品と思いますが、ラテンのお国柄のせいかエロス満開です。
えっ⁉︎アダルト系作品が間違って届いた？と勘違いするような場面が出てきます。
女性の裸体がモザイク無しなので、興味のある方はどーぞ、どーぞ‼︎

旧いアルゼンチンの場末のBarで奏でられるバンドネオンの音色に鳥肌が立ちます。その盲目のバンドネオニスタを『タンゴ』『家へ帰ろう』のミゲル・アンヘル・ソラが演じてます。ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

交わされる台詞も深いし、やたらとエロイです。薄暗いBarで繰り広げられる情熱的なアルゼンチンタンゴ（旧いショータンゴ）はもうそれだけで唆られます。

1930年代、旅人が乗せてもらう行商人のプロペラ機は戸口が開けっ放しでドアが無かった。気を付けないと直ぐさま落下します。が、その上空から見下ろす数々の景色はそれはそれは美しい。
そしてパタゴニアの海に打ち上げられる鯨...あの時代に打ち上げられた鯨🐋が現代の海にまた...

このがらんどうは、もう愛や感性で満たすことはできない。辻褄合わせの言い訳で本能は飼い慣らせず、わたしたちの物語は遥か彼方へと旅立ってしまったのだから。
取り戻せない感覚で引き、そうではない感覚で戻す。奏でられるバンドネオンの音色だけが、いつかの抱擁のようにわたしを滾らせ、その身をタンゴに陶酔させる。鮮やかな赤と青が逆転するマジックアワー。わたしは歴史に吸い込まれ、そのひとつになる。