ハーレー、コルベット、コカコーラ、アメリカンダイナー…アメリカの表象みたいなもんが次々に出てくる割には最後までアメリカ映画らしくないと言うか、ジョン・ルーリーが音楽（？）をやっているのもあってかアンチと言うより似非とかフェイクなんて言葉が浮かぶ。アートに振り切っている訳では勿論ないし、だからと言って商業的に分かりやすい映画でもない、停滞、そして終焉の映画。ケネス・アンガーって言われるとちょっと「あぁ」みたいな気持ちになるが、とにかく異様でシュール、終盤の繋ぎなんて観ててちょっと不安になる。そこに愛はあるのかい？と言われたら確かにない、マジでなんだこの映画…。

2024年劇場鑑賞42本目。
こちらも急遽参戦したグッチーズ企画。ウィレムデフォーのデビュー作！って知らずに観にいきましたが、これもまた面白い。なんか、ショット毎にいちいち決まっていてたまらない。ストーリーも、丁寧に丁寧に構成されていて、ラストまでのサスペンス感もしっかり。観に行って得したなぁ。

キャスリン・ビグロー監督（当時30歳）の長編デビュー作。ウィレム・デフォー（当時26歳）の初主演作。革ジャンとハーレーの魅力を打ち出しカルト化している一本。

1950年代末。ビンス（デフォー）率いるハーレーバイカー５人組は、デイトナのレース会場へ向かう途中で小さな町のガレージを宿にする。暇をつぶす中、ビンスは赤いスポーツカーに乗った娘テレナと出会う。お互いの身の上話をする中で、テレナは母親の自殺を語りだす。。。

一応ストーリーはあるが、本旨は革ジャン・バイカーズ特有のカッコ良さをビジュアルとムードで描き出すことだと感じた。ビグロー監督はデビュー作からメカニックなものに対してフェティッシュなこだわりがあった事を認識した。

バイカーズ・スタイルへのフェティシズムと言えば、真っ先にケネス・アンガー監督の「スコーピオ・ライジング」（1963）が思い浮かぶが、同作のような同性愛要素は本作からはあまり感じられない。ライダースジャケットに対するカッコ良さの尺度が男性監督と女性監督では違うからだろう。

若き日のウイレム・デフォーはスマートで、ライダースをカッコ良く着こなしていた。ショットのライダース（Schott：PERFECTO）をあれだけタイトに着こなしているのは凄い。ちなみに乗っているハーレーはFLHハイドラグライドだった。

個人的にはパンク・ロックが好きだったのでライダースも英国のLewis Leathers派。しかしコロナ禍以降は太ってしまったためずっと袖を通していない。

※本作のプロットは「恐怖のまわり道」(1945：エドガー・G・ウルマ―監督）から着想を得たとのこと。