こぼちゃん

レ・ミゼラブルのこぼちゃんのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)
4.5
監督 トム・フーパー、脚本 ウィリアム・ニコルソンほか、原作 小説ヴィクトル・ユゴー。1980年代ロンドンで上映され、その後、ブロードウェイをはじめ、世界各地でロングランされた同名のミュージカルの映画化。

レ・ミゼラブルとは、「悲惨な人々」「哀れな人々」という意味。作品のテーマは、『愛』

アカデミー賞、助演女優賞(アン・ハサウェイ)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、録音賞。

姉の子供の為に、一本のパンを盗み、その後も貧乏故に、銀食器を盗んだジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)。司教は、私が与えたものだと残りの2本の銀の燭台も差し出し放免させる。ファンティーヌ(アン・ハサウェイ)は、バルジャンの知らぬ処で彼の工場を解雇され、貧困の中、娘の養育費を稼ぐ為に、さらに落ちていく。

ファンティーヌを見付け、彼女の願いを聞くバルジャン。娘のコゼット(アマンダ・サイフリッド)を幸せにして欲しいと。秘密結社ABCの友に所属する貧乏な学生マリウス(エディ・レッドメイン)は、生活苦に民衆と蜂起する。やがて、二人は恋に落ちる。私服警官ジャヴェール(ラッセル・クロウ)が執拗に、バルジャンを追うが、果たして何か正義かと迷う。

見所は、美しい髪の毛や前歯を売り、売春もしたファンティーヌ。土や埃にまみれながらも、恋に憧れた時期もあった、でも、全ては娘の為と渾身の演技と歌声で訴える。白い肌に汚れながらも、頬には薄くオレンジのチークがとても美しかった。

バルジャンの過去の罪の贖罪の念、親としてコゼットを愛するも、年齢を考えればマリウスに託すべきかと悩む姿。悲痛ながら、自らの追われる運命と向き合い、民衆蜂起の中、私服警官の命も救う姿が尊い。

天に召そうとする中、約束を守ってくれてありがとうというファンティーヌの魂。愛する二人(コゼットとマリウス)に看取られながらファンティーヌと共に消えていく。最後の自由を勝ち取ろうとする巨大なバリケードには亡くなった市民や今も頑張る人たちの雄々しく歌い上げる笑顔と声。革命の国、フランスを感じました。

処で、今は花の都パリも、100年前までは、とても汚い都市だった。セーヌ川しか水源がなく、18世紀中ごろまで入浴の習慣もない。19世紀まで上下水道が整備されていなかったから、糞尿は通りにぶちまける。当然、ペストやコレラが蔓延し、フランスでは5人に1人が死亡、1.8万人が亡くなった。それを機に上下水道が完備され、花の都パリに生まれ変わる。

貴族が長いドレスをきたり香水が多く調合されたのは、上下水道がなかった時代、ドレスをまくって用を足したり、臭い消しが必要だった背景も影響している。日本では、夜、お風呂でさっぱりしたいけど、欧州では体臭もセクシーさの一つで、そのまま愛し合い、朝にシャワーを浴びる習慣の違いも。
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