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王になった男の小のレビュー・感想・評価

王になった男(2012年製作の映画)
3.7
キネカ大森の『韓国映画“夏祭り”~さよならCJEJ~』で鑑賞。あの王は実は影武者だった、みたいな史実とフィクションを交えた物語。日本で同じような物語といえば、隆慶一郎の『影武者徳川家康』がお馴染み、だと思う。

1616年、李氏朝鮮の第15代国王・光海は、王位をめぐる暗闘で人間不信に陥り、自分とそっくりの者を探して影武者とするよう指示。光海の代役を15日間務めた道化師のハソンは政治に疑問を抱き、自らの意志で命令を下していく(ちなみに1616年は徳川家康とシェイクスピアが亡くなった年)。

人気俳優イ・ビョンホンの1人2役で、韓国で1200万人超の動員という大ヒット作。影武者が理想的な王として成長し、王妃とも心を通わせるといったヒューマンドラマに加え、庶民が王を装うことによるコメディ要素も盛りだくさんで面白い。

韓国内では光海の業績を踏まえ、暴君と言われる彼を再評価する動きが出ているらしいけど、この物語では貧富の格差を考慮した政策だけでなく、歴代の王が成しえなかった韓国民の誇り高めるような政策を実施したのが人間性豊かな庶民の影武者だった、という点がウケたのかな?

この映画を観ると、韓国と日本の国民性の違いみたいなことを分けているのは、やはり地政学的な要因が大きいのだろうという気がする。かつて恵まれていたように思える日本は、今はどうなのだろう。光海の政策には学ぶべきことがありそうな気がする。

●物語(50%×3.5):1.75
・面白いけど、韓国(朝鮮)の歴史に詳しい方がより感動的にも楽しめると思う。

●キャスト、演出(30%×4.0):1.20
・イ・ビョンホンの威厳のある王と庶民の影武者の演じ分け上手い。

●映像、音、音楽(20%×3.5):0.70
・王宮の様子はそれなりに見ごたえあり。
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