"魂の牢獄"
英国で最も恐ろしい囚人として知られるチャールズ・ブロンソンことマイケル・ピーターソンの半生を描いた作品。
シリアスな画面にかぶせるポップな音楽の使い方や独特なカメラワーク、赤や青の印象的なライティングなどなど…
レフン節とも言える美的センスが炸裂。
そして主演トム・ハーディの怪演!!
暴力シーンやちょっと汚いシーンもあり、決して綺麗なものだけで構成された画面ではないのだけれど、どこと無く整っていて端正な仕上がりにも感じてしまう不思議。
「有名になりたいから」と言う理由だけで、犯罪を犯す主人公の行動原理は「悪名は無名に勝る」とでも言いたげな短絡的なモノのようにも思えます。
しかし、だからといってそこには所謂"野心"と言ったものはなく"ただ真っ直ぐなだけの男"にも見えてくる。
また、こう言った常人には到底理解の出来ない価値観の部分に狂気性を感じる一方で、スタンドアップコメディ風な主人公自身による"語り"によって物語が綴られ、彼の無茶苦茶な人生にブラックユーモアが加わる事で醸し出される哀愁に似た何か。
そして、社会規範と自らの存在を切り離す鉄格子の中で、"牢獄"そのものを媒介とした芸術的爆発。
→流石にブロンソンの描いた絵を『第二のマグリット』と評するのは如何なものか?と、思いますけど!笑
全くもって、人にオススメできる類の作品では無いのだけれど、個人的には結構好きです。笑