バラエティー番組「ゴッドタン」の名物企画を映画化した作品。

キス我慢選手権の尺を長くしただけなのでこれを映画と呼ぶべきなのかは疑問です。
ただ、企画自体が面白いので沢山笑わせて頂きました。
映画館で観るような作品ではないでしょうw

面白いのは認めます！
ただ、僕の中ではキス我慢選手権ってストーリーを無視していきなりキスしちゃったりするところが笑えたんですよね。
もう映画になるとラストまで絶対しちゃいけない感があって、そういう笑いに繋がってきませんでした。
しかもストーリー重視にしてしまった為、キスを我慢するシーンが少なくて長々とアドリブ芝居を見せられるので面白いですが正直疲れます…
アドリブが面白いのであって、ストーリー自体は面白くないですしw

出だしで葵つかささんが脱いだ時はバラエティー番組の時よりも過激になって面白くなるのかなとワクワクしましたがそこからは何もなく…

もっとバラエティーでは出来ないような事をやって欲しかったなと思います。

この映画は、​人気深夜バラエティ番組「ゴッドタン」の人気コーナー、
「キス我慢選手権」を映画化した物語。
主演の本名川島省吾である劇団ひとりは、記憶を失った元暗殺者、
「砂漠の死神」という不可解な設定で物語が始まる。
​旅番組ロケだと思いロケバスを下車したら、共演者のおぎやはぎやバナナマン達から突然、
「24時間キス我慢選手権」の開始を告げられる。

​戸惑う川島のもとに、次々と最凶の刺客が襲撃。
暗殺組織「赤い闇」の刺客、不死身ゾンビ軍団、敏腕刑事など、
様々なキャラクターが登場し、セクシー美女たちが川島にキスを迫る。
​川島は、自分が何者なのか詳細も知らされず、キスを我慢する理由もよくわからぬまま、
全てアドリブで乗り切る必要があり、、、というお話。

9月からNetflix配信開始された、佐久間宣行プロデュースの企画バラエティ、
「デスキスゲーム いいキスしないと死んじゃうドラマ」の予習として、
キス我慢選手権の劇場版を観ようと、軽い気持ちでチョイスしてみたのだが、
物語導入部分こそ、悪ふざけな映画だなあとタカを括っていたものの、
話が進むに連れ、その世界観への理解と共に、
演者達の演技の凄まじさにより没入感がハンパなく、予想以上に楽しめる作品で、
思ってた以上に作り方が上手い作品だった。

まずこの映画の凄い所は、1つは、劇団ひとりの卓越した「アドリブ力」にある。

1人コントのネタ作りで培ってきた妄想力や想像力、
絶え間なく進む物語への、瞬時の設定理解力、
相手の芝居を受けて繰り出す最適解の応答力、
舞台経験の場数がモノをいう、咄嗟の名言セリフ。
全てが唸るレベルのデキなのだ。
(ﾟＡﾟ;)ｺﾞｸﾘ

私は学生時代に演劇をチョロっとやっていたのだが、一番苦手だったのは「アドリブ」だった。
役者はアドリブ芝居の練習もする。
それは、セリフを間違えたり忘れたりした「ミス」の時に、
気後れしないようにアドリブ練習を繰り返す事で、ピンチをなんとか挽回する力を付ける事が目的だが、
劇団ひとりのアドリブは、ミスの挽回というよりは、
物語を膨らましたり、展開を発展させたりする意味合いがあり、
しかもそこに芸人特有の「笑わせる」事が目的の、ユーモア性まで組み込まれている。

芝居がかったコント調、演劇調の、オーバーな演技かもしれないが、
アドリブ力だけなら正直、プロの役者も顔負けの才能なのだ。
俳優でここまでアドリブ力のある人はいないと思われる。
しかも、伝家の宝刀の「泣き芸」まで持っている(笑)
｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡

この前、山田裕貴がラジオで話し相手に「泣き芝居が難しい」と相談していたが、
それを受けた堤真一が「泣けないなら無理しなくていい」と答えるほど、難易度が高い泣き芸を、
劇団ひとりは持ち芸としてできる芸人なのだ。

若手時代の彼を見ていた人なら、彼が泣き芸で売れ始めた事を知っているだろう。
出る番組で毎回泣き芸を要求され、涙が枯れ、追い詰められメンタムまで塗り始めた挙句、
「失明するぞ」と医者にドクターストップかけられたエピソードは有名な話だ(笑)
工ｴｴｪｪ(´д｀)ｪｪｴｴ工

この映画には、渡辺いっけいや斉藤工も刑事役で出演しているが、
この2人は俳優界の中でも、芸人リスペクトが強い役者である事は、あまり知られていない。
( ´ー｀)y-~~

たとえば、渡辺いっけいは、「ナインティナインのオールナイトニッポン」の年末恒例企画、
「岡-1グランプリ」の熱心なファンであり、
第1回から連続出場する芸人コンビ「ミキ」の兄「昴生」の推しファンである。
推し過ぎて、生放送中に電話凸までするほどの俳優さんなのだ。
工ｴｴｪｪ(´д｀)ｪｪｴｴ工

また斉藤工は、ラッセンネタで売れる前の「永野」に、
売れるきっかけを作った恩人だ。
永野のコントに感銘し、自身のプロデュース兼主演映画に、
そのコントを採用するほどだし、
彼自身はなんと、NSCに入学しているのだ。M-1グランプリ王者令和ロマンと同期だったりする。
工ｴｴｪｪ(´д｀)ｪｪｴｴ工

ちなみにこれは余談だが、この映画には窪田正孝も出演している。
まだ主役常連になる寸前の、若手俳優時代後期という頃で、
亀田ボクシング一家の次男坊に似てるほどの顔つきな頃だが、
彼がのちに水川あさみと結婚するきっかけは、
ハリセンボン近藤春菜の仲介によるものだ。
工ｴｴｪｪ(´д｀)ｪｪｴｴ工

このように、中には芸人リスペクトの強い俳優もいる。
コントで培われる演技力、バラエティ番組で養われるアドリブ力を、
俳優達は意外と侮ってはいないのだ。
だからこういう異色映画にも出演する。

この映画の凄い所のもう1つは、長回しシーンの卓越さだ。
アドリブバラエティの体をとっている為、シーンのカット割りがない。
ゆえに長回し撮影が多くなるのだが、随所にカッコいい画が撮られ、
しかも役者はずっとアドリブ演技を続けている形になる。
セリフが決められていての長回しなら分かるし、一応の演者のセリフは用意されている。

しかし、劇団ひとりに関しては、セリフは全く用意されていない(と思う)し、
全部アドリブセリフで、その方向性次第で他の演者もアドリブ対応力が要求される。
そう考えると、即興演技で長回しを全員が全部やってる事となり、それを考慮すると、
この映画のクオリティは、只事ではないレベルだと思うのだ。
(ﾟＡﾟ;)ｺﾞｸﾘ

ちなみに、劇団ひとりのバディ役を担う岩井秀人という役者さんは、
映像作品の出演は少なく、私も申し訳ないがよく知らない。
ただ、舞台経験は凄く多い演劇人なので、やはりアドリブ力が買われての抜擢なのだろう。
セクシー女優さんとパコパコするシーンは羨ましかったが(笑)
(;´Д｀)ﾊｧﾊｧ

話を戻すと、やってる題材は「キスを我慢できるかどうか」という、
実にくだらない前提の物語なのだが、
スクリーンの目の前で起こってる出来事は、全くくだらなくない。
むしろ、とんでもないクオリティのアドリブ作品なのだ。
果たして劇団ひとり無しの、プロ役者のみで成立できる映画なのだろうか。

答えは「できるわけがない」のだ。無理である。そんな役者、いないと思う。
( ﾟДﾟ)y─┛~~

尋常じゃなく頭の回転が速い劇団ひとりだから、成立できる難易度高めの物語なのだ。

ある意味、劇団ひとりは、松本人志やビートたけしらとは、また違う畑の天才だと確信できる。

もう1つだけこの映画の凄い所を指摘するなら、セクシー女優の演技力の高さだ。
特に、葵つかさとみひろの2人は並の女優より上手い。鬼気迫る表情、迫真の泣き演技。
ぶっちゃけ途中から、キス我慢の設定を忘れてしまうほどだった。
(ﾟＡﾟ;)ｺﾞｸﾘ
おそらく、彼女ら2人の演技力を引き出したのも、劇団ひとりのアドリブ力なのだろう。
そうとしか考えられない。

以上が良かった点になるが、良くない点もあった。
モニター画面でお芝居を見守る、バナナマン、おぎやはぎ、松丸アナのコメントが、
没入感にとってかなり邪魔なのだ。
┐(´д｀)┌ﾔﾚﾔﾚ
コメントを無くせとは言わない。コメントがあるから笑い所を炙り出す効果はある。
ただ、だいぶしゃしゃり出過ぎなのだ。
外野コメントを無音にする場面を作っても、よかったんじゃないかなと思った。

それから、Filmarksに文句を言いたいのだが、ドラマもアニメもレビュー対象にするのに、
バラエティを対象外にするのはジャンル差別ではないのか？
( ﾟ皿ﾟ)y─┛~~
「デスキスゲーム いいキスしないと死んじゃうドラマ」はれっきとしたNetflix配信作品。
ジャンルレスのご時世に、あるまじき逆行の愚行だと思われる。
ぶっちゃけ、バラエティドラマやコントドラマに限らず、
配信系バラエティは全て、レビュー対象内にすべきである。

もっと言えば、テレビのバラエティも全部対象にしてほしい。
なんだったら、一定以上のメジャー系YouTuberの動画作品も全部。
YouTubeはバッドボタンを無くしてからおかしくなったし、
つまらないYouTuberが未だ多いのは、客観評価する機会の喪失によるものが大きい。
無論、素人YouTuberだけではなく、プロの芸人YouTuberなんかも全部対象内にして欲しい。
そうすれば、粗品のYouTubeが本当に面白いと思われてるのか、
芸人とYouTuberのどちらが面白いのか、白黒付くだろう。

世の中はもはや、ジャンルレスの時代だ。
( ﾟДﾟ)y─┛~~

数年前に「マヂカルラブリーのネタは漫才なのか漫才ではないのか論争」もM-1グランプリで話題になったし、
今は「8番出口はホラー映画なのかホラー映画じゃないのか論争」も話題になっているように、
ジャンルレスが最新の世相なのだ。

同時に世の中は「総レビューの時代」でもある。全てのものが客観評価対象にされている。
少し前は飲食店が食べログで限定的に点数化されていたが、
今はGoogleマップで全ての飲食店が点数化されている。
飲食だけではない。通販でモノを買う時は、商品全てが点数化されている。

総レビューもジャンルレスも、おそらくグローバリズムによるものだろう。
世の中にいいかどうかは分からないが、世相を反映するのなら、そうするべきである。
ちなみに、日本が落ちぶれたのは通信簿の5段階評価を止めたからである。
なぜならそれは、本質的にグローバリズムに反しているからだ。
通信簿5段階評価を止めてもいいのは、全体主義国家か反グローバリズムでやってく覚悟のある国だけだ。

おっと、キス我慢の映画なのに、まさかの個人思想の話になってしまった。
それほどまでに、この映画は私にとって深い所に刺さったのだろう(笑)
(ﾟ∀ﾟ)ｱﾋｬ

最後に。もし自分がチャレンジしたら、
序盤10分辺りの、星野あかりがキスを迫った辺りで脱落するなあと思った。
(*´Д`)ﾊｧﾊｧ

良かった演者
劇団ひとり
金子みひろ(みひろ)
葵つかさ
渡辺いっけい
やべきょうすけ
斉藤工
マキタスポーツ
竹内力
岩井秀人

映画として観ればベタで平凡なゾンビ映画だけど、お笑いとして観ればアドリブと笑ってみてるおじさんたちがじわじわくる。劇団ひとりの天才的な適応力を楽しむのには最高のDVDかと。途中で飽きがちだったが、ガチの若手俳優がいい具合に登場してるので謎の見応えがあった。