あなぐらむ

刺青のあなぐらむのレビュー・感想・評価

刺青(1966年製作の映画)
4.5
もういっそ気持ちいい位の邦画版「蜘蛛女」な若尾文子の悪女ぶりに、小便ちびりそうな痛快作。
増村の誇張された演出が、男女に和合等無い、とでも言わんげに狂わされていく男達の憐れを描き出す。宮川一夫はひたすらにあややの白い艶肌をぬめぬめと撮りまくり溜め息が出る。

あの青空娘がこんなになっちまって……と嘆息してしまうような伝法な口調が見事なあやや。乱れ髪に赤い襦袢、背なの女郎蜘蛛が血に染まるラストは圧巻。
ファム・ファタルではない"最高殊勲悪女"。それがあやや。
男性陣は毎度な長谷川明男がぐだぐだと気弱な役でドンピシャ、内田朝雄に佐藤慶と相手も文句無し。
昔の邦画には原作何本かをフュージョンしちゃう作品も結構あって、この増村版「刺青」は、「刺青」と「お艶殺し」をミックスしてるとか。

「エロい」というのは「エロティックである」という事で、「性的である」「官能的である」という事なので、作品にはよると思うがやっぱり「卍」とか「刺青」の若尾あややは、こりゃ「エロい」んじゃないかろうかと思うのだ。なお「エロティック」の下位表現として「セクシー」があるそうだ。知らんけど。当時のあややは33歳、まさに熟れ頃であった。