あまのかぐや

美しい夜、残酷な朝のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

美しい夜、残酷な朝(2004年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

パク・チャヌク。三池崇史。陳果(フルーツ・チャン)。
ホラー映画のアジア杯。韓日華の鬼才三人によるオムニバスホラーの競演。
ホラーというかダークファンタジー。いや、やっぱりホラーかな?グロもあるよ ( ^ ^ )b

①パク・チャヌク監督「Cut」
主演はイ・ビョンホン様。2003年の作品ということで、ルックスも今ほど研ぎ澄まされていない気がします。お肌も体も今のほうがだんぜん張りがある。日々磨いてんのね~。
「オールドボーイ」や「JSA」で名を馳せ最近ではハリウッド映画「シークレットガーデン」という禍々しくも美しい名作が印象ぶかいパク・チャヌクが、どのようにビョンホン様を調理しているか。期待して観てみました。
ビョンホン様の役は、大成功を手にし、ピアニストの妻と豪華な邸宅に住む若手映画監督。ある日家に帰ると妻と見知らぬ少女を人質にした男が自宅に立てこもっていた。男は、彼の監督作品複数にエキストラとして参加していた。

これが意外にコメディタッチで驚きました。夢の中のような現実味のないポップな邸宅の内装とピアノに緊縛された妻。乾いたブラックな笑いをところどころにまじえ、それでも切断とか鮮やかな色の血糊など(細かくは書かないでおきます)はさすがに容赦ない韓国産映画の流れをくむパク監督ならでは。犯人の無体な要求の前で善人でありたいと抵抗するビョンホン様の精神が壊れていくのを見る作品。ビョンホン様がパンいちで尻文字や放屁など、こちらもかなり別の意味で痛々しい感じ。「世にも奇妙な物語」+R15ぐらいな印象(2.0)

②三池崇史監督「Box」
現代を生きる小説家のキョウコ(長谷川京子)と担当編集者(渡部篤朗)のシーンと、キョウコの回想シーンが夢のように交錯する、ストーリーは最後までよくわからないので置いておくとして、雰囲気重視のダークファンタジー。

意外や意外。三池監督作のほうがこだわりの美と不気味な静謐さの中でじわじわ雰囲気を盛り上げていく、こちらのほうがパク監督か、または清水崇や黒沢清監督の作品です、と言われても不思議はないぐらい。どうした!三池監督!(笑)

極彩色の地獄絵、見世物小屋の天幕、軽業師の美少女、監禁箱、そして○ャム○○○。江戸川乱歩世界のような昭和的ほの暗さと淫猥さ。

小説家のキョウコが見る、双子のショウコの幻影が怖かった。暗い階段をのぼっていく少女の後ろ姿、とか。気づかなければ気づかないような、見切れた感じがジャパニーズホラー独特の怖さ。
それにしても日本作品だけ字幕がないのですが、セリフが聞き取れないのは困ったものです。ハセキョーも渡部さんもぼそぼそしゃべるので思いっきりボリュームあげて聞き取っていたら、効果音ばーんで耳が死んだ・・・。(2.5)

③フルーツ・チャン監督「餃子」
監督の名前もタイトルもなんだかおいしそうですね。この監督は知らなかった。

元映画女優が場末で噂の餃子屋をたずねる。
うちの餃子は特別よ、美と健康の薬だからとのたまう美貌の女将は「わたし何歳に見える?」と答えのない謎を投げかけてくる。彼女のお手製の餃子の中身はなに?コラーゲン?プラセンタ?プラセンタじゃないの?!近いんだけどさ、近いんだけど…と、これだけで内容はわかってしまう。わかりやすさでいえばこの作品が一番わかりやすい。

こんなあらすじの元、幾つかの衝撃的なえぐいシーンがあり、…ああああああ!これはいやだ。男性は特に、いや女性もトラウマ級の嫌さ、とおっしゃる方もいるであろう、アレが…!

あの部屋、あの街。謎の餃子屋の内装と女将のけばけばしさ。美しく描きたいんだか、その逆なのか。この女将役のバイ・リンという女優さんが凄まじい。美しい女優、そしてセイロの中の美しい料理…これはふるふるプルプル水餃子とか蒸し餃子ですね。いやちょっとしばらく食べたくないデス。
…思い出すだけでいろいろおぞましい。香港流というか中国流は、これまた独特の感性なのか。(2.8)
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