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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニストのchikichikiのレビュー・感想・評価

3.8
 『彼は、この宇宙に存在する悪魔的なものを身につけている。』by ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ


 ヴァイオリン史上最高の名手と歌われるニコロ・パガニーニ。
 本作は、1831年の英国初公演をめぐる騒動など、実話に基づく部分と彼にまつわる伝説を織り交ぜながら、パガニーニという天才について(特に"悪魔のヴァイオリニスト"としての部分に焦点を絞って)描き出した作品です。


 デイヴィッド・ギャレット演じる本作の主人公・パガニーニは非常に美しく、官能的で、それこそ、悪魔的な魅力が溢れ出しておりました!

 →主演のデヴィッド・ギャレット自身も"現代のパガニーニ"とも称される現役のヴァイオリニストで、若干17歳にして、パガニーニの超難曲『24の奇想曲(カプリース)』を全曲録音した天才だそうで…

 そんな彼の体を張った演技と演奏シーンで魅せる、吹き替えなしの超絶技巧が本作の最大の魅力かと思います!!

 また、マネージャー??のウルバーニを演じたジャレッド・ハリスの不気味な存在感もこれまた、素晴らしかったです!!

 当初、このキャラクターは主人公・パガニーニを狂気的・悪魔的な魅力を強調して描いた結果、到底1人だけの力で上手くいくとは思えないキャラクターに仕上がってしまったため、物語に整合性と説得力を持たせる為の興行面におけるブレーン役。または、お守り役として配置されたキャラクター程度に考えていたのですが…

 意外や意外。まさか、あんなキャラクターだったとは…。笑

 個性豊かなキャラクター配置のバランス。     
また、おそらくゲーテの"ある作品"ベースにしているであろう物語の構成自体もとても良く出来ていて、なかなかに味わい深い秀作でした!!


 まぁ、何はともあれ、劇中で流れる音楽(演奏シーン)がとっても素晴らしいので、パガニーニという人物を知らずとも、楽しめる作品ではないかと思います!!


 ※第24番の演奏シーンもめちゃくちゃカッコ良かったですが、個人的にはパブのシーンが好きです。
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