あまのかぐや

ソロモンの偽証 後篇・裁判のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

2.2

このレビューはネタバレを含みます

この映画がヒットしたのは、絶妙な場面で切って「さあ真相は?!」って仰々しい振りが良かったのだろうか。

原作未読。
宮部みゆきさんの原作であるからにはたぶん深いテーマが込められているのでしょうが、あくまで映画として観た感想、考察すらできていませんのでお許しくださいませね。

中学生日記をみて感想かかされたり、金八先生を観て自分の知らない学校文化を知り脳の皺を増やしたり、翌日学校でわいわい語りあったり、・・・そういう昭和を過ごしたスレっからしの大人には、どうしても観ながら苦笑しか出ませんでした。

むしろ、まだまだ感性のみずみずしい中学生がホームルームなんか見たらさぞ活発な意見が飛び交うのではないでしょうか。誰に共感するか、誰が一番悪か、そして自分が判事なら、陪審なら、と。

かくいう我が家でも鑑賞後「誰が一番嫌いか」みたいな話で喧々諤々になってんですけどね。こういう観方はなかなか面白かったです。

ちなみにわたしが一番嫌いなのは最初に自殺したカシワギくん。
娘はジュリちゃんの毒母。オットは、不良の大出。
みんなそれぞれ理由を言い合ったりしてけっこう白熱した。みなさんは誰が嫌いですか?

あ、そうそう後編の感想ですね。後編は夏休みの数日を費やした裁判の日を追っての話でした。

前編で脇役のように配された実力派俳優さんたちの力量が爆発!前編のモダモダした存在感は、後編のためだったか。とくにマツコちゃんの父親と母親(塚地武雄さんと池谷のぶえさん)辞職した前校長の小日向文世さん、リョウコちゃんの両親の佐々木蔵之介さんと夏川結衣さんあたりが印象的。リアリティない脚本にリアルな存在感を力技で入れてきた感じ。

真相やラストの解明などは「衝撃!」と言ったほどでもなく、観ていればどんどん絞られていきますね。
ミステリーに頭をひねるというのとは違う意味で、最後まで頭をひねりながら観た結果、自分自身のまとめとして残ったものは、といえば。

たまたま横にいることになってしまった狂った人に人生歪められた人たちのお話だったのかなぁって。

「生まれや環境のせいにしない。不幸は覆せる」と健気に強く生きる人、マツコちゃんとカンバラくん。そこに立ちふさがる被害者意識まるだしの思春期中2病のジュリちゃんとカシワギくん。

そしてカシワギくんによって病んでしまい、万人に罰せられないとあかん、みんな僕を罰して!と周りを巻き込む狂った人になっちゃったひとカンバラくん。

そう考えれば、大出くんはその生まれの不幸のせいにどっぷり溺れた人だったし、あの突拍子もない展開から尻すぼみに収束した黒木華と市川実和子のパートにもつながる気がする。

やはり道徳の時間に鑑賞して、学級委員が黒板にまとめるような感想で。

いじめはいけない。観て観ないフリはしない。生来の不幸は前向きに克服しよう。

なんという啓蒙な内容な。

と、まとめようとしたところでエンディング曲がU2…

う〜んどういう見方したらいいの、これ(と初めに戻る)
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