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第三世代のryosukeのレビュー・感想・評価

第三世代(1979年製作の映画)
3.6
黒電話やテレビから発せられる音が常に重なる音響、登場人物の異様な振る舞い、ファスビンダーらしいギラギラしてごちゃついた画面がカオスを作り出す。
各章ごとにリアル「便所の落書き」を挿入するアイデアも素敵。
アジトに取り残された男と刑事のナンセンスな会話や、彼のバクーニン本のキャッチボール等、黒人の連れのフォン・シュタインが絡んだシーンが面白かった。
「惑星ソラリス」への言及の中で映画を「1秒25回の嘘」(ヨーロッパではテレビ放映を前提として1秒25コマで映画が撮影されたりするようだ)と形容していたが素敵な表現だな。合言葉となる「意志と表象としての世界」もイカしている。ショーペンハウアーの著作のタイトルのようだが、映画そのもののことでもあるような気もしたり。
ファスビンダー節溢れる俗悪な映像は良いんだけども、まともな筋書きの無い断片の羅列に中盤以降は結構ウトウトしてしまい、ただでさえ分かりづらい作品が余計分からなくなってしまった。まともな人物描写がないのに人数が多いせいか、人物を全然覚えられない。ラストに暴力の連鎖を叩きつけられ覚醒したところでブツッと終わってしまい呆然。コンディションが良い時に見直したいかな...
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