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博士と彼女のセオリーのabeeのネタバレレビュー・内容・結末

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【彼と彼女だから導き出せるセオリー】

先日、「ビューティフル・マインド」を鑑賞したことで、「天才を描いた作品が観たいなぁ」と思い鑑賞したのがこちら。

好きか嫌いかでゆうと「好きではない」です。
でも、この「映画の結末(理論)」を理解するために「論理」的に考えて最終的にまぁ納得はしました。

天才物理学者、スティーブン・ホーキング博士と彼の妻、ジェーン・ホーキングの出会いから現在までを描いた作品。

単純に鑑賞したら結末の好き嫌いで評価は分かれるとは思うのです。
私は無論、「はぁ?」と思いましたよ。きれいごと並べ続けて欲しかったですよ、正直。

でもこの作品を理解しようと思ったのです。
なのでタイトルの意味から細かく分析してみました。

原題は「the theory of every thing(万物の理論)」、邦題は「博士と彼女の理論」。
まず、「理論」という言葉の意味を正しく解釈してみました。
調べてみるとなかなか面白いページを発見しまして、「理論」と「論理」の違いについて考察している人がいたのですね。

「理論はアウトプットであり、論理はそのプロセスである。」
http://www.keiomcc.net/faculty-blog/2014/07/post-308.html


つまり、最後に2人が導き出した結論が「理論」であり、映画のストーリーは「論理」であると。

そう考えた時、オチにも妙に納得がいきました。
「理論」を発見するためには「論理」が必要であるということです。
最後に現在のシーンから走馬灯のように2人の人生が巻き戻される描写がありましたが、これが「論理」を表しているのですね。

それに加え、この巻き戻しのシーンが表すものは「収縮」。
ビッグバンで宇宙は誕生し、時間は宇宙の誕生と共に始まります。
時間と共に宇宙は膨張し、星が誕生し、うまくいかなくなるとブラック・ホールができる。
いつかその膨張が止まって収縮し始めると?
宇宙は無に戻る。
それが時間の終わりなのです。

「時間には始まりがある。」
それはすなわち「全ての事象には始まりがある。」
恋も家族も始まりがあれば終わりがある。
時にはその関係は歪みを生じ、ブラックホールを生み出す。
そしていつかは収縮するーー。
それがホーキング博士の導き出した理論、「万物の理論」ということです。

ところがタイトルの「理論」を映画の「結末、答え」と解釈した時。
果たして「万物の理論」と言えるでしょうか?
この「理論」も「論理」もこの2人だから導き出せたものだと思うのです。
そうなると、邦題には納得いくけれども原題には納得行かないという矛盾が生じました。
どうしましょう⁇

要するにホーキング博士のことをあまり知らない人は邦題にしっくり来ると思うんですよ。
現に私はそうでした。
一般的ではない2人の関係は他の人には当てはまらない特殊なセオリーに基づき成り立っていると。
そういう意味では娯楽のための映画と考えた時、この邦題は正解だと思います。

ということで、数学が苦手なくせにホーキング博士のことを色々調べたり、難しい文章を読んで、考えて、熱が出そうなので、ここらへんでやめときます。
要するに理解はできたけど好きじゃないということです。

ただ、この作品をホーキングによる宇宙の誕生の定理と重ねて見ることができれば、もんのすごく面白いだろうと思います。
この映画の持つ美しさは画的なものではなく、理系の人たちのゆうところの「数式的」な美しさだと思うんですね。
だって、ある2人の男女の人生を宇宙の誕生と消滅に擬えて表現してるんですよ⁇

そりゃあ物理学オタクには堪らん一本でしょうねぇ…
abee

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