翔海

ビューティー・インサイドの翔海のレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
4.3
明日も変わらない君を見ていたい。

朝、目が覚めると知らない誰かになっていた。18歳のある日を境に性別も年齢も国籍も違う見たこともない人間に変わっていた。毎日、姿が変わるキムウジンは誰の記憶にも残らない存在になってしまうが、そんな彼を理解してくれるのは母親と幼なじみの友人のサンベクだけであった。人と関わる仕事が出来ないウジンは家具デザイナーの仕事をインターネットとサンベクの協力を得て、その業界で活躍していた。そんな生活を続けて12年になったある日、ウジンは大手家具屋で働くイスと出会う。彼女の熱意の伝わる接客に惹かれて毎日違う姿で会いに行っては名刺を貰っていた。ウジンは彼女に毎日会いに行っているのにイスにとっては初めての客ののように接客くれた。ある日、ウジンは若い男性(イケメン)になった日にアプローチをしようと計画する。上手くデートに誘うことができ、ウジンは寝るとリセットされることから2日寝ずに同じ顔を維持して連日イスと会っていたが、とうとう睡魔に負けて電車で寝てしまう。起きるとまた違う顔になってしまうがイスに本当のことを打ち明けることが出来るのだろうか。

なかなか観ない韓流作品で良い作品に出会えた。設定も一風変わったものであり、内面は変わらないのに目覚めると外見が変わると言う苦難に悩む男性が主人公。自分を愛してくれる女性に出会えても次の日には顔も性別も違う知らない誰かになっている。昨日までの自分に戻れたらと後悔するも同じ顔には戻れない。外見や見た目で人を認識するからこそ、次の日は違う顔だと知らない誰かと認識してしまう。そんな彼を愛したイスも苦労していただろう。彼の顔を思い出そうにも毎日変わるから思い出せない。思い出も記憶も混濁してゆく毎日にストレスを抱え込む。

毎日、姿が変わるウジンと恋人のように接するイスは男性の時は恋人らしく見えるし、女性の時は友人や姉妹はたまたLGBTにも見える。世間には色んな恋愛が存在するようにその2人の恋愛も少し変わったものである。作中にあった言葉で(君は世界の誰よりも多くの人に愛されている)という言葉通り毎日変わるウジンから愛される世界観は独特なものを感じる。毎日姿が変わることをカミングアウトされ信じようと会いに行った時の姿として上野樹里さんに変わっていましたが、そのシーンがかなり印象的でした。他国の人にも変わる日もあるし、韓国語を話せないけど理解できることから上野樹里さんに変わったときはウジンの全てのセリフは日本語であった。所々、親日的なものが見られるこの作品は日本人にも見てもらいたい作品だと思える。
翔海

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