horahuki

ノック・ノックのhorahukiのレビュー・感想・評価

ノック・ノック(2015年製作の映画)
3.4
超情けないキアヌリーブス…

『メイクアップ 狂気の3P』のリメイク作。同じリメイクといっても、オリジナルに忠実なものと独自色を強めてオリジナルを大きく改変したものがあるかと思いますが、本作は前者でした。

というわけで粗筋はほぼ同じ。
一家4人で家族旅行に行く予定が、急な依頼が入ったためにひとり自宅で仕事をしなければならなくなった主人公ウェバーの元に美女2人がやって来てついウッカリ3Pしたら、逆に監禁されてしまうというホームインベージョンスリラー。

オリジナルは家の中での支配権の逆転までが過不足なくスムーズだったのですが、本作はオリジナルより大幅に時間を割き、その辺りを丁寧に描いていました。

あくまでも若者として等身大な少しハードル低めの「良識のある態度」の範疇におさまるように自身の言動をセーブし、相手の警戒を少しずつ解いていく。彼女たちの派手な外見がその許容範囲を押し広げ、普通の言動の中に境界線ギリギリアウトな極々小さな爆弾を戦略的に仕込むことで、会話の主導権を握り自分たちのペースに引き摺り込んでいく。ここら辺が物凄く丁寧。

そういった会話での駆け引きを長引かせることによって主人公が如何に良識的な人間なのかを強調し、速攻3Pし始めたオリジナルのオッサンに対して、今作の方がより「誰もが災難に巻き込まれる可能性がある」という本来のメインテーマを意識していたように思います。

そして技術的な変化がそこにスリルを上乗せしていた感じでした。オリジナルでは電話が精一杯だったけど、フェイスタイムという一瞬で何もかもが露呈してしまう要素が追加されたことで、絶望と希望どちらの方にもボタンひとつでアクセスされてしまうという良い方にも悪い方にも終焉と隣り合わせな感じがハラハラしました。

あとクライマックスめっちゃ笑った!あのキアヌリーブスだからこその笑いというか。色々と情けなさすぎて…(笑)特にあのフェイスブックのとこはサイコーでした!

でも女性陣がウダウダと種明かし的なこと喋っちゃうのは嫌でしたね〜。そんな理由どーでも良いのに。あと犯人たちの素性というか犯行の背景を明かした後にかくれんぼとかやっても、流石に逃げられるかも?なんて希望は見えないからあんまり緊迫感の緩急の役割を果たしてないのも残念だった。ルイスの流れも物語の都合に合わせ過ぎ。

前半部分は良かったんだけど、後半部分もほぼほぼオリジナルの展開そのまんまで、しかも明かされないから良かったところをツラツラと話しちゃうダサさが残念でした…。あのラストカットの衝撃(笑撃)もなかったし。私はオリジナルの方が好き。
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