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教授のおかしな妄想殺人のchikichikiのレビュー・感想・評価

教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)
3.5
 "ウディ・アレン流『罪と罰』"

 自己憐憫&自己欺瞞を繰り返す、実に面倒臭そうな哲学科教授・エイブ(太宰治かっ!!)を演じたホアキン・フェニックス。
 そんな彼の危険な香りに誘われた、美人女学生・ジル(しかも才女!!) を演じたエマ・ストーン。
主要キャストを務めた2人がとってもハマり役でした!!

 周囲の人間や主人公・エイブの発言。
 また、彼の引用する哲学者たちの言葉が次の行動、引いては起こり得る事態・展開を予見させ、そこに主人公が元来持ち合わせている常人の感覚とはズレた"異常性"が加わることで物語があらぬ方向へと進んでいく…

 「言葉を弄するだけで、成果を生まない」哲学に対して息苦しさを感じ、死への執着を募らせていく主人公。
 そんな彼が良くも悪くも如実な変化をもたらす"殺人"という行為にのめり込んでいってしまう点は『心中はお察し致します』程度には理解できるかなーと。
(仮に頭で理解出来たとしても、全くもって共感の余地はありませんが…笑)

 赤の他人の死を想像する事によって、生への喜びを感じ、死への執着を不合理と考える様になるというのがなんともまぁー皮肉。

 そして、そこから迎えるビターエンドの余りにも突拍子もないオチの付け方にちょっと笑ってしまいました。

 
小さな裏切りがありながらもサクッと見れるストーリーに、変態的で皮肉の効いたユーモアを取り入れた、実にウディ・アレン監督らしい作品。

 ただ、キャストと小洒落た雰囲気は悪く無いものの、ウディ・アレン監督作品がお好きな方でも好き嫌いの分かれそうな内容なので、そもそも彼の作品があまり得意では無いと言う方には決してお勧めはしません…笑
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