河豚川ポンズ

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーの河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

それはスターウォーズというにはあまりにも凄惨な映画。
なんやかんやで観るのが遅れてしまったが、意地でも観に行きたいと思って何とか年内に観られました。
まさに今年イチを飾るにふさわしい映画だったと確信しました。

そして自分が観に行った12月28日という、奇しくもキャリー・フィッシャーさんが亡くなられた日となってしまった。
彼女がいたからこそ、このローグワンのあのラストであり、「スターウォーズ」なのだ強く感じました。
改めて彼女のご冥福をお祈りします。


さてここからはいつも通りです。

共和国が倒れ、帝国が台頭してから幾年も経ち、銀河での帝国の勢力圏は増す一方であった。
そんな帝国軍に抵抗し続ける反乱軍は、帝国軍内部からの密告により超兵器開発の情報を手に入れる。
その情報の提供者は帝国軍部の科学者のゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)。
彼はその超兵器に関する情報を帝国軍の貨物船パイロットのボーディー(リズ・アーメッド)に託し、かつてのクローン大戦の英雄であり友でもあるソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)へと届けさせる。
その情報を聞き付けた反乱軍の情報将校キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)は、すでに離反してしまったソウ・ゲレラに情報の譲渡と協力を取り付ける任務を受けることになる。
そしてその為の鍵となる人物、今は窃盗、暴行などの犯罪者ながら、ゲイレン・アーソの娘であり、ソウ・ゲレラに育てられた過去を持つジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)が反乱軍に連れてこられるのだった。

彼らが後のシリーズに出てこない事からも薄々感づくように、彼らはとんでもない死地に向かい、まさに決死の覚悟で無茶苦茶な任務をこなすことになるのですが、それでも心のどこかで「いや、ヨーダみたいに銀河の果てとかで一人くらいが隠居してるんじゃないか…」と淡い希望を抱いていました。
ですが、そんな希望もあっさり打ち砕いてくれるほどに悲しい物語でした。

今までの勧善懲悪としたスターウォーズの正史と違い、帝国と反乱軍の戦争というなかで歪められたジンやキャシアンたちの人生はまさに凄惨という言葉に尽きます。
勝つためならどんな汚いことにも手を染めてきたキャシアンは特にそのはずです。

しかし、本来は最も苦しい立場にいるはずのゲイレンがただ一人希望を捨てずに戦い、そしてその希望をソウ・ゲレラに、そしてそれはジンたちローグ・ワンに、そしてそこからラダス提督に、次は反乱軍とレイア姫、遂にはルーク・スカイウォーカー、ジェダイという希望の象徴へと、針の穴に糸を通すがごとく希望のリレーを続けていきます。

正直もうこの流れだけで泣けます。
特に終盤のスカリフのシールドベースでのラダス提督の艦隊が本隊に先んじて助けに来てくれたシーンとか、チアルートとベイズの友情、K-2SOの抵抗とか、皆が皆自分の役割とその結末が分かっているのにも関わらず、覚悟を持って臨む様はとにかくかっこよく、そして切ないです。

そしてそこから最後に繋がるあのラストには、本当に心が震えるというか、ローグワンを傑作たらしめた瞬間だと確信しました。
これから先EP4を観るときには、必ず彼らの知られざる尊い犠牲があったのだと嫌でも思い起こされてしまいます。
ギャレス・エドワーズ監督はとんでもないものを作ってくれましたね…
まさにファンのための映画というか、より一層スターウォーズを楽しむために生まれた、まさに完璧な「外伝」としての映画でした。