あまのかぐや

サクラメント 死の楽園のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

サクラメント 死の楽園(2013年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

VICE社の突撃取材が売りのスタッフによるPOV形式。
薬物治療のためにある宗教団体のコミュニティ「共同体」に入った妹から手紙をもらったという男。
「共同体の暮らしですっかり更生してげんきにしているから一度遊びにきたら」と。
手紙から不穏な様子があるということで、取材レポーターとカメラマン、そして件の兄の3人が「エデン教区」に乗り込む、というモキュメンタリー形式。

「おとうさま」と呼ばれる教祖を中心に、性別年齢人種問わず、平和で幸せに、手作り感溢れる小さなコミュニティを形成する人々。
取材やインタビューの中から見えてくるのはそんな様子のみ。
ただ入口ゲートに武装した警備がおかれていたことの引っ掛かりを除けば。
「おとうさま」に単独インタビューを申し込むと、これまた意外にあっさり、オッケーがでる。
その取材は礼拝堂という、オープンなキャンプ場のバーベキュースペースみたいな集会所で行われ、まるで野外フェスのような雰囲気。
単独インタビューのはずなのに、なぜか信者たちがギャラリーをつくり「おとうさま」の答え一つ一つに感動し声をあげ、祈る。すっかりけむに巻かれた取材チームの周囲・・・このあたりから雲行きが怪しくなってくる。

実際あった「宗教組織による集団自決事件」とのことです。
ちなみにタイトルの「サクラメント」というのは、わたしは最初、街の名前かと思っていましたが「聖餐」という意味だそうで。



ここまで読んで、興味を持った方は最後まで読まずにいたほうがいいかもしれません。

私の感想としては「んー、すべてが物足りない」
イーライ・ロス脚本製作とのことですが、おどろくほど薄味な感じでした。尺が短いのか、教祖のカリスマぶりも、インタビュー時のせりふと、集団自決前のスピーチぐらい、「え、これだけ?」という感じで。脱走しようとする人の怯えるほどの精神的支配や洗脳のあたり、そこの部分、描写があればもう少しなんとかなんとかなった気がしますが。

そしてPOVというわりに、ときどきカメラが「あれ?誰が撮ってるの、これ」みたいにみえて、いらんことに気が散ってしまう。
ヘンに大仰な演出で攻めてこないから、かえって「いやこれほんとにありそうだな」という気にもなるし。
設定は嫌いではないですけどね。短くあっさり見られてよかったかな。
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