生と死のひしめき合う世界で
男の信念は生の執念となる。
ゾンダーコマンド
ユダヤ人虐殺をドイツ人が自らの手を汚さぬために編成した同胞部隊。
同胞が同胞をガス室に招き入れ、同胞の死体を処理する。
想像を絶するような世界をサウル視点で追体験させられる独特な撮影法が印象的。
近くのもの以外はピントは呆けている…いや背けているといったほうがよいだろうか。
彼の生きる目的は、息子を埋葬すること。
いずれゾンダーコマンドも抹殺される運命ならばと男のささやかな願いを生きる糧とし奔走する。
狂っている…
あの世界にいない我々からすれば
狂っているのはあの世界で
狂わされたのは皆だ
サウルとともに追体験する中で我々の心にも息子を…という念が湧いてくる。
繋ぎ止めたものがあり続ける限り人は生を全うできるから…
今まで経験のない映画体験ゆえ感想、感覚の判断に困った作品ですが、たしかにあの世界をサウルとともに過ごしていました。