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湯を沸かすほどの熱い愛のCureTochanのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

テレビで観た。私に終わりまで付き合わせるなんて邦画としては大したものである。テンポと役者がよかったのだろう。

宮沢りえの役は、赤に象徴されるように情熱的な女である。だから愛があるし、一方では人をひっぱたきもする。その軸が、余計なエピソードでぶれるところが不満だった。死にたくないと言うところや最後にモルヒネで朦朧とした場面は、いたずらにリアルなだけであり、もっとさらっと済ましてもらいたい。これだから最後のところが賛否両論になってしまうのだ。ピラミッドのシーンもラストの部分を際立たせるためには蛇足であり、男たちはむしろ無力なまま、愛情表現としては普通に見舞いに行くべきだった。

とにかく、最後に自らの身体をもって湯を沸かす、それが確かに主人公の本望なのだと思わせる演出が足りないと感じた。正直なところ観ていて期待したのは、主役のキャラクターに圧倒されたままのエンディングだった。死してなお人を動かす、という点ではそうだったけど、もっと強い意志が見てみたかった気がする。

アフタースクールや、鍵泥棒のメソッドみたいなミステリ的な作りがうまくて目立ちすぎたために、ここもまたぶれたのかもしれない。見たかったのは作り手の凄さじゃなくて、主人公のだった。別にどんでん返しではないのに、ラストが面白いなどと宣伝するのもよくないだろう。
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