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或る終焉の小のレビュー・感想・評価

或る終焉(2015年製作の映画)
3.9
劇場に行ったら、以下のPOPが。

<あなたは
 この衝撃のラストを
 どう受け止めますか--?

ネタバレサイト
“『或る終焉』の衝撃”のご案内>

公式HPトップ画面の『観た方限定!ネタバレ掲示板はコチラ』をクリックし、劇場のPOPに書いてあるパスワードを入力すると、鑑賞した人がネタバレ感想を書き込めたり、読めたりするらしい。こりゃまた、凄いオチに期待せざるを得ないでしょ。

んで、観た結果……、凄いわ。傑作。

終末期患者を専門に世話をする男性看護師の物語。彼は誠心誠意尽くし、患者の人生に繋がっていく。しかし、その患者はやがて亡くなるのは確実で、深い喪失感が待っている。

この映画を観て思ったこと。他者は孤独を癒す希望になりうるし、孤独に陥れる悪夢にもなりうる、ということ。主人公にとって他者はどうなのだろう。また、観た人はどうなのだろう。それを考える映画だと思う。

衝撃のラストのシーンをどうとらえるかで、他者の解釈が変わってくると思う。もちろん絶対的な正解はない。どのような答えもその人にとって正解だと思う。

他者は希望であって欲しいけど、どちらかといえば悪夢に思ってしまうことが多い自分。希望に思えるような自分になるにはどうしたら良いか。よく分からない。

さて、ネタバレ掲示板を見てみますか。

おおっ、投稿数はまだ少ないけど、監督がラストのシーンについて語っているインタビューのリンクを貼っている方がいるじゃないですか!やっぱり知りたいよね~。ということでインタビューを読み進めていくと、最後の方に以下の注意書きが。

<※次の質問と答えの文中は結末に触れています。フランコ監督の意図としては観客に考える余地を提示したいということで、映画を観た人に対してもきちんとした解釈を明かすのはあまり望んでおられません。読まれる際はご注意ください。>

と言われると余計読みたくなるに決まっているじゃないですか。それでは…。

…。なるほど~。でも読まないほうが良かったかも…。自分的傑作感は後退してしまった。

公式HPの「DIRECTOR'S STATEMENT」によると、この映画は監督の祖母と女性看護師との実話が基になっているようだ。監督の解釈を知った後、この実話と物語の関係を考えると、より興味深く感じる。

やはり絶対的な正解はない。正解は自分が決めるもの。そして解釈は観客の想像力に委ねる方が傑作になる可能性が高い、ということが良くわかりました。
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